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遺伝子について

DNAは体の設計図と呼ばれています。MYCODEは遺伝子の持つ情報を解析して病気のかかりやすさや体質を調べます。検査結果をより深く理解するためには基本的な知識を理解しておくことが大事です。DNAや遺伝子、ゲノムなど、聞いたことはあるもののその詳細や違いをご存知でしょうか?ここではその詳細をご説明します。

遺伝子について

親から子供に、身体的な特徴が「遺伝」するのはよく知られています。この特徴を決めているのが「遺伝子」です。
遺伝子情報は、どの細胞にも存在する「DNA」の並び方で決まっています。

塩基配列のイラストの画像

今や日常会話でも使われる「DNA」という言葉は、生物学から出てきた用語で、「デオキシリボ核酸」を略したものです。DNAはヒトで言えば、60兆個にも及ぶすべての細胞に存在し、DNAの情報に基づいて体の細胞、器官、臓器が作られていくため、「体の設計図」とも表現されます。

DNAは精子と卵子の中にも存在し、受精を経て親の特徴は子へと「遺伝」します。DNAが持つ情報次第で、髪や目の色などの外見的な特徴、病気のなりやすさといった身体的な特徴などが決まってきます。DNAの情報に基づいて子孫に受け継がれる特徴を「遺伝形質」と呼び、遺伝形質を決める因子のことを「遺伝子」と言います。

DNAとゲノムについて

動物や植物の細胞には「核」と呼ばれる場所があり、DNAはそこに収められています。ヒトの場合、1つの核の中にあるDNAの長さは仮に1本につなぎ合わせたとすると約2mにもなるといわれています。それが小さく折りたたまれ、わずか直径数μm(マイクロメートル)しかない核の中に収納されているのです。

細胞のイラストの画像

1本のDNAはまず「ヒストン」と呼ばれるタンパク質の一種に巻き付いて「ヌクレオソーム」という構造となり、次から次へとヒストンに巻き付きながららせん状に回転し、最終的には1つの「染色体」へと凝縮されます。染色体は細胞分裂をするときに現れる構造で、そのとき同時に核の周りを覆っていた核膜が消えるため、私たちはこの段階で初めてDNAの実態を観察することが可能になります。染色体という呼び名は、光学顕微鏡で観察するときにアルカリ性の色素でよく染まる特徴にちなんで付けられたのだそうです。

「特徴」の生まれ方

ヒトの鋳型、DNA

DNAは2つの面から「鋳型」としての役割を持っています。一つは、DNAの配列情報に基づいて、多種多様なタンパク質を作り出すための鋳型としての役割です。もう一つは、細胞分裂が行われる際に自らのDNA配列に基づいて新しいDNAをコピーし、分裂して新たにできた細胞にコピーしたDNAを受け継ぐ鋳型としての役割です。

遺伝子はタンパク質のレシピ

ヒトの体には約10万種類ものタンパク質があり、これらは遺伝子にある遺伝情報から作られます。「酵素」や「ホルモン」、ウイルスのような侵入物に対抗する「抗体」などはいずれもタンパク質で、生命活動を支えるさまざまな機能を担います。このタンパク質の作り方を決める情報を祖先から綿々と受け継いでいるのが遺伝子です。

30億字で10万種類

タンパク質は20種類のアミノ酸がつながった物質で、DNAによって並びが決まっています。タンパク質は生物を構成する物質の中で水の次に多く、生物の機能を担う重要な物質です。DNAに含まれる塩基が遺伝情報を書くための文字とすると、ヒトの場合は約30億文字あります。それらで10万種あるタンパク質を作っています。

DNAの1か所の違い「SNP(スニップ)」

SNPとは何か

ヒトが持つDNAは誰でもほぼ共通しており、わずかに0.1%程度の違いがあるのみといわれています。しかし、その微小な違いが姿形や性格、体質などの個人差となって、一人ひとり全く異なる個性を生み出しています。

遺伝子には髪の色や目の色を決める遺伝子などがあり、髪の色であれば茶色、黒色などの違いがあります。こうした違いは「遺伝型」の違いによって生まれます。この違いは、DNAの中で1カ所の塩基が別の塩基に置き換わる現象、「SNP(一塩基多型)=スニップ」が元になるとされています。塩基がわずか1カ所異なるだけですが、お酒に強いか弱いかといった体質が左右されることもあります。こうした変異とは別に、遺伝子約10万分の1個程度の確率で塩基が抜ける「ミス」の現象や、自然界にある紫外線によって塩基の並び方が変わる変化など、1980年代終盤から世界規模で始まったヒトゲノム解析プロジェクトの成果により、多くのことが明らかになってきました。

二重螺旋のイラストの画像

生物にとって遺伝子が変わることは、必ずしも生命の維持に悪影響を及ぼしません。変異をきっかけに起こる遺伝子の変化が、周囲の環境を含めた条件への適応に好都合である場合もあります。従って、遺伝子の多型は個性豊かな生物の多様性を生み出す源泉ともいえるのです。


病気のリスクや薬の効果を左右

SNPは個人差に関係すると述べましたが、遺伝子の変化に伴って、外見的な特徴やある特定の薬に対する効き目などに変化が出たり出なかったりします。そうした個人差を「表現型」と呼びます。「ある種の薬の効果が、AさんとBさんの間で異なる」「副作用の出方がCさんとDさんの間で異なる」。このような違いの背景に、SNPの多型による個人差が影響を与えている可能性があるわけです。逆に言えば、あらかじめ特定の薬剤なり、特定の疾患なりとSNPとの関係を突き止めておけば、適正かつ効率的に治療を進めたり、早い段階から予防に役立てたりすることもできるでしょう。このような一人ひとりの事情に即した近未来の医療のあり方を、「オーダーメイド医療」と呼んでいます。

表現型の説明のイラストの画像

SNPのすべてが外見の変化や病気のかかりやすさなどの意味のある変化に関係しているわけではありません。DNAの中でタンパク質をコードする領域や遺伝子に指示を与える調節領域は、ごく一部でしかないのが理由の一つです。大半のSNPはそれ以外の領域に位置しています。半面、遺伝子の機能に関係する領域にあるSNPはタンパク質の形や性質を変え、病気のリスクや薬の効果に影響を及ぼしたりします。

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