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わきが
- 原語
- axillary-osmidrosis
- 研究
- 日本 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
この研究のふむふむポイント
わきがはもともとフェロモンだった!?
わきがは汗が皮膚の常在菌に分解されて起こる独特のにおいです。病気ではありませんが、気にして病院に行く人もいます。一方で、わきがはかつてはフェロモンのような働きをしていたという説もあります。実際、わきがのにおいが好きという人もいます。もしかしてフェロモンの名残かも!?
耳あかタイプと深く関連
耳あかが湿ったタイプの人は、わきがになりやすいようです。これは、70年以上も前から既に知られていました。近年、遺伝の研究が進み、その原因遺伝子がはっきり分かってきました。
日本人で調べたデータ!
この結果は、長崎大学の研究グループが日本人を対象に行った研究に基づいた日本人データです。なんとわきがの日本人の98.7%に当てはまった、その遺伝タイプとは・・・!?
わきがについてもっと知る

「わきが」はもともと「フェロモン」だった?
夏より断然冬が好き!なぜって?毎日上着を着て過ごせるから。だって私・・・「わきが」なんだもん(涙)
「それ分かるわ~」という人、少なくはないと思います。
わきがは病気ではありませんが、実際、においを気にして病院を訪れる人も少なくありません。
汗を分泌する汗腺には「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類があります。アポクリン腺から出る汗は、脂質やアンモニアなど、においの素となる物質を多く含んでいます。これらの成分が皮膚の常在菌に分解されると、わきが独特のにおいが発生します。
ということは、わきがの人にだけアポクリン腺があるの?という疑問が生じます。答えは「ノー」です。アポクリン腺は誰にでもありますが、わきがの人は、一般的にアポクリン腺が大きく、数も多い体質というわけなのです。
アポクリン腺はわきの下以外にも、耳の中、陰部、肛門、乳輪などにも存在します。人間以外の哺乳動物では、こういった部分から発せられるにおいは異性を引き付けるフェロモンと同じような役割をしていると考えられています。どうやら我々人間では進化とともに、邪魔者扱いになってしまったようですね。
一方で、わきがのにおいが好きという人も時々いますよね。また、ネット上では、わきがの人はモテやすいという噂もちらほら見られます。これらは意外と、フェロモンのような役割をしていた頃の名残だったりするのかもしれませんね!?
わきがは耳あかタイプと遺伝的に関連していた!
アポクリン腺が大きくて多い体質の人は、耳の中のアポクリン腺から出る汗の量も多くなります。そのため、耳あかは湿ったタイプとなります。さかのぼること70年ちょっと前、「耳あかが湿っている人はわきがになる傾向が強い」という研究報告がなされました。この時点ではまだ遺伝の研究は盛んではありませんでした。したがってこの研究は、「耳あかが湿っているか乾いているか」と「わきがかわきがでないか」という2つの事実に基づいて大勢を調べた検証結果でした。
その後、遺伝の研究が進み、長崎大学の研究グループにより、「ABCC11遺伝子」のDNA配列のうち、「SNP」と呼ばれる部分が日本人の耳あかタイプに関連していると判明しました。ABCC11遺伝子は、細胞の外側を覆う「細胞膜」に存在して、栄養分を細胞に取り込み不用物を排出するための通り道となる「ABCトランスポーター」タンパク質の設計図となる遺伝子です。
続いて同じ研究グループは、ABCC11遺伝子のSNPが、わきがのなりやすさにも関連するかどうかを調べました。すると案の定結果は「関連あり」。こうして日本人の、わきが要注意である遺伝タイプが判明したわけです。
わきが要注意の遺伝的タイプは・・・!?
長崎大学の研究によると、調査したわきがの人のなんと98.7%は、ABCC11遺伝子に存在するrs17822931というSNPのDNA配列が「G(グアニン)」であったそうです。
rs17822931というSNPはAA、GA、GGの3つの遺伝型に分けられます。
日本人平均と比べると
・AAの遺伝型をもつ人は「わきが傾向でないタイプ」
・GAまたはGGの遺伝型をもつ人は「わきが要注意タイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
SNP(rs17822931)の遺伝型がGAまたはGGということは、父親と母親の、どちらかまたは両方から受け継いだ遺伝型がGであることを意味します。
研究の詳しい内容を見る
長崎大学の研究グループは、長崎と沖縄に住む79人のわきがの日本人を対象に、SNP(rs17822931)の遺伝型を調べました。するとなんと、1人を除く78人(98.7%)が、わきが要注意タイプのGAまたはGGでした。
研究グループは、比較のために、わきがかどうかを気にせずに、長崎と沖縄に住む161人をランダムに選び、このSNPの遺伝型を調べました。するとその中で、わきが要注意タイプだったのは57人(35.4%)でした。この結果から、SNP(rs17822931)の遺伝型がGAまたはGGの人は、単に長崎と沖縄の人に多いのではなく、確かに「わきがの人に多いタイプ」と分かりました。
どうやら、このSNPの影響を受けるABCトランスポーターというタンパク質は、アポクリン腺からの汗の分泌機能に関わっているようです。研究グループは、遺伝型がGAまたはGGだと、汗の分泌が促進されるように働くのだろうと考察しています。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- わきが傾向でない
- 64.6%AA
- わきが要注意
- 35.4%GG&GA
本研究では、遺伝型に基づき、2種類のタイプに区分されます。
AAは「わきが傾向でないタイプ」、GAとGGはともに「わきが要注意タイプ」に区分されます。
参考文献
【対象SNP】rs17822931