あなたの結果もわかる!
虫歯のなりやすさ
- 原語
- dental-caries-susceptibility
- 研究
- 日本 鶴見大学・桐蔭横浜大学
この研究のふむふむポイント
放置していませんか?放っておくと怖い虫歯!
虫歯の治療をつい先延ばしにしちゃったこと、ありませんか?歯は物をかむ他にも、表情や姿勢など、健康な生活に欠かせない多くの働きを担っています。虫歯を放っておくと、こういった働きに影響するだけでなく、血管に虫歯の原因菌が入り込み、命に関わるケースも!虫歯の治療は、やはり早いうちに行うに越したことはなさそうです。
虫歯の「なりやすさ」は遺伝する!
「虫歯」は原因菌により起こるので遺伝するものではありませんが、「虫歯のなりやすさ」は遺伝します。ある研究では、虫歯のなりやすさの4割から6割は遺伝で決まるという報告もあります。また、遺伝だけが原因とは限りませんが、虫歯は一般に、白人よりアジア人の方が多いのだそうです。
日本人での研究結果!
日本の鶴見大学歯学部と桐蔭横浜大学が日本人を対象に行った研究によると、虫歯のなりやすさと、歯の形成に関わる「DLX3遺伝子」に存在するSNPの遺伝型との間に相関関係が見つかったそうです。
虫歯のなりやすさについてもっと知る

放置していませんか?放っておくと怖い虫歯!
虫歯になって「わーいやったー!」と喜ぶ人なんて、いませんよね。治療も痛いし、なんと言ってもあの歯を削る音が苦手で・・・などと、ついつい治療を先延ばしにし、気付いたら虫歯が進んでしまった、なんていう人もいるのではないでしょうか。
虫歯は、口内細菌が食べ物から作った酸が、歯の表面の「エナメル質」やその内側の「象牙質」などを溶かして起こります。この溶かすことを専門的には「う蝕(うしょく)」と言い、う蝕された歯が「う歯(=虫歯)」です。虫歯の原因菌として最もよく知られるのが「虫歯菌」の別名を持つ「ミュータンス菌(S. mutans)」です。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にミュータンス菌はいません。親が赤ちゃんにキスをしたり、スプーンなどの食器を共有した際などに、唾液を通じて赤ちゃんの口に入り、そのまま住み着くと知られています。それだけではなく、くしゃみで飛んだ唾液でも感染してしまう可能性があるという説もあり、ミュータンス菌がいないまま大人になるのはなかなか難しいようです。
「それじゃあ虫歯になっても仕方がないな。仕事忙しいし、あまり痛くないし、虫歯になったけど治療は保留にしよう」なんて人、いませんか?歯は、食べ物をかむ役割だけでなく、「歯ごたえ」といった食感、言葉の発音、表情、姿勢など、健康に生活をしていく上で欠かせない、たくさんの働きに関わっています。もしも虫歯を放っておくと、こういった働きに影響するだけでなく、血管に虫歯の原因菌が入り込み、命に関わるケースも!そうやって考えると、虫歯を見つけたら、やはり苦手でもなんでも早く治療をしなくては!と思えますね!?

虫歯の「なりやすさ」は遺伝する!
ところで、文部科学省が毎年公開している「学校保健統計調査」によると、日本人の虫歯は食生活の変化や予防技術の向上などにより、ここ数年減ってきています。とは言え、まだ日本人の過半数は高校生までに1度は虫歯になるというのが現状です。
虫歯は、ミュータンス菌などの原因菌の働きでなるわけですが、虫歯の「なりやすさ」は、「口の中が清潔かどうか(原因菌は食べかすを素に酸を作る)」「唾液が出やすいかどうか(唾液は口の中の酸を減らす性質を持つ)」など、虫歯ができる仕組みに関連するいろいろな要因に影響されます。
そんな中で、遺伝子研究の時代になると、虫歯のなりやすさに関連する要因の1つとして、「遺伝」や「遺伝子」も注目されるようになり、世界各国で研究が行われるようになりました。
例えば、遺伝的に同一な「一卵性双生児」と、兄弟レベルに類似した「二卵性双生児」を比較した研究では、虫歯のなりやすさの4割から6割は遺伝で決まるという報告も出ています。また、歯の形成に関わるとして知られるさまざまな遺伝子と虫歯についての研究も、世界各国で盛んに行われています。
今回、日本の研究グループは、歯の一番外側を覆う「エナメル質」の形成に関わる「DLX3」という遺伝子に着目し、日本人を対象とした研究を行い、2015年に論文発表を行いました。
日本人の虫歯のなりやすさに関連していた遺伝型は…!?
鶴見大学歯学部と桐蔭横浜大学の共同研究グループは、日本人の子どもを対象に、虫歯のなりやすさとDLX3遺伝子に存在するSNPとの関連性を調べました。その結果、rs2278163というSNPの遺伝型が「TT」または「TC」であると、口の中にミュータンス菌が多い場合、虫歯になりやすいと分かりました。
rs2278163というSNPには、TT、TC、CCの3通りの遺伝型があります。
日本人平均と比べると
・TTまたはTCの遺伝型を持つ人は「虫歯要注意タイプ」
・CCの遺伝型を持つ人は「虫歯になりにくいタイプ」
という遺伝的傾向を持っています。 虫歯は一般に、白人よりアジア人の方が多い傾向があり、また、人種によって遺伝型を持つ人の割合は異なります。したがって、日本人を対象とした今回の研究結果は、日本人である私たちの現状により即したものだと考えることができます。
研究の詳しい内容を見る
鶴見大学歯学部と桐蔭横浜大学の共同研究グループは、5歳と6歳の日本人の子ども201人を対象に、今回の研究を行いました。
まず、子どもたちの唾液を調べ、口の中のミュータンス菌が多いグループ(75人)と少ないグループ(126人)に分けました。さらに、それぞれのグループの子どもたちを、虫歯が多いグループと少ないグループに分けました。
ミュータンス菌が多いか少ないかは、唾液1mL当たりのミュータンス菌が、10,000 CFU未満か10,000 CFU以上かで分けました。CFUは、「コロニーフォーミングユニット」の略称で、菌量の単位です。
虫歯が多いか少ないかは、治療前または治療済みの虫歯が2本以下か3本以上かで分けました。
次に、子どもたちの頬の内側を綿棒でそっとこすり、はがれた細胞からDNAを取り出しました。このDNAを解析し、DLX3遺伝子に存在する7つのSNPの遺伝型を調べました。
最後に、それぞれのグループと、7つのSNPの遺伝型との関連性を、「カイ2乗検定」という方法で統計学的に解析しました。
その結果、口の中のミュータンス菌が多いグループで、DLX3遺伝子に存在する「rs2278163」というSNPの遺伝型がTTまたはTCであると、統計学的に顕著に虫歯が多いと判明しました。
※MYCODEの体質項目において、「下の前歯」についての「虫歯のなりやすさ」を提供しておりますが、MYCODE fumfumのでは、別の研究に基づき、MYCODEの「虫歯のなりやすさ(下の前歯)」とは別のSNPを解析しております。
そのため、MYCODEの「虫歯のなりやすさ(下の前歯)」とは異なる結果が出ることがございます。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 虫歯になりにくい
- 9.5%CC
- 虫歯要注意
- 90.5%TT&TC
本研究では、遺伝型に基づき、2種類のタイプに区分されます。
CCは「虫歯になりにくいタイプ」、TTとTCはともに「虫歯要注意タイプ」に区分されます。