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粘り強さ
- 原語
- persistence
- 研究
- 米国 カリフォルニア大学
この研究のふむふむポイント
仕事への姿勢からも分かる!?「粘り強さ」
仕事でミスをしてしまった・・・こんなとき、「もっと頑張るぞ!」と燃え上がる?それとも、へこんでやる気を無くしてしまう・・・?実はこの違いには、あなたの「粘り強さ」が関係しています。「粘り強さ」は、仕事中など様々な場面で行動として表れるようです。
「粘り強さ」には後天的なものより先天的なものが影響!?
個性(パーソナリティ)は遺伝性の強い「気質」と、後天的に形成される「性格」に分類されるそうです。「粘り強さ」は「好奇心」や「報酬依存性」、「用心深さ」とともに遺伝性の強い「気質」に区分されています。
「粘り強さ」に影響する遺伝型とは
米国のカリフォルニア大学の研究の結果、「粘り強さ」に影響する遺伝型が見つかりました。
粘り強さについてもっと知る
仕事への姿勢からも分かる!?「粘り強さ」
「粘り強さ」といえば、童話「ウサギとカメ」を思い出しませんか?この童話において、粘り強いカメはコツコツと努力を積み重ね、最後にはウサギに勝利しました。
童話「ウサギとカメ」であるように、「粘り強さ」は人によって違い、仕事など様々な場面において表れるようです。
突然ですが、あなたは以下の状況において、AとB、どちらに近い行動または考え方をしますか?
・仕事ですごく疲れが溜まっている・・・そんなとき、やりがいを感じる?
A:すごく感じる!
B:感じない・・・
・批判を受けたり、ミスをしてしまったとき、どう感じる?
A:「くそ~、もっともっと努力してやるんだ!」と感じ、以前より努力する
B:「う~ん、やる気を無くしちゃったなあ・・・」と感じ、ほどよく手を抜く
・新しく仕事を任されたとき、どうする?
A:できるだけ早めに手を付けたい
B:できれば後回しにしたい

「粘り強い人」ってどんな人?
さて、あなたはAとB、どちらに多く当てはまりましたか?
これらの質問は、個性(パーソナリティ)の研究者であるクロニンジャー博士が作成した「TCI(気質性格検査)」のうち「粘り強さ(persistence)」について定義されている内容を参考にしたものです。
このうちAの回答は全て「粘り強い人」の特徴です。粘り強い人は、「努力を惜しまない頑張り屋」。勤勉でよく働き、疲れが溜まっていても「ああ、なんてやりがいがある仕事なんだ!」と考えて努力を継続するという特徴があります。また、報酬が得られるたびに「よし、これからもがんばるぞ!」とよりいっそう努力するようになるそうです。
さらに、新しい物事に対して非常に意欲的に取り組むという特徴もあります。やるべきことを見つけたら、何か見返りが無くても進んで行い、何か仕事をもらうと「すぐ始めたい!」と思うようです。
逆に、Bの回答は「粘り強くない人」の特徴です。粘り強くない人には、諦めが早い、飽きっぽいなどの欠点があります。
例えば報酬を繰り返しもらううちに徐々に怠けるようになったり、なかなかやる気を出さなかったり、任された仕事がすぐに終わりそうなものでもなかなか手をつけなかったり・・・。
これらの2つの特徴を見比べると、「粘り強い人」が素晴らしい人に見えますが、そんな「粘り強い人」にも欠点が存在します。
「粘り強い人」は、先ほどもご紹介したように褒められても叩かれても努力するモチベーションをあげるという特徴がありますが、それ故についつい頑張りすぎてしまい、「完璧主義」、「仕事バカ」になってしまう傾向もあるようです。
また、1つのことにこだわりすぎてしまうこともあるようで、不測の事態にも弱いと考えられています。粘り強すぎるのも、考えものなのかも・・・!?
「粘り強さ」は遺伝性が強い!?
クロニンジャー博士によると、個性(パーソナリティ)は遺伝性の強い「気質(tenperament)」と、後天的に形成される「性格(character)」に分類されるそうです。
先ほどご紹介した「粘り強さ」は、「好奇心」や「報酬依存性」、「用心深さ」とともに、遺伝性の強いとされる「気質(tenperament)」に分類されます。
ちなみに、「性格(character)」には「自己志向」、「協調」、「自己超越」の3つの要素があるとされています。
米国のカリフォルニア大学は、それぞれの気質と関わっている遺伝子を明らかにするため、遺伝型と、クロニンジャー博士が考案した「TCI(気質性格検査)」のそれぞれの気質のスコアとの関連を調べる研究を行いました。
この研究では、4つの気質のうち「粘り強さ」と、以前ご紹介した「新しいものへの好奇心」の項目について、今回の研究で候補とされていた遺伝子との関連を見つけることに成功しました。
「粘り強さ」について、rs17608059というSNPが「T」であると、粘り強さが弱くなると分かりました。さらに、このSNPの遺伝型を見た場合、「T」の数が1つよりも2つである方が、より粘り強さが弱くなってしまう傾向があると分かりました。
rs17608059というSNPにはTT、TC、CCの3通りの遺伝型があります。日本人平均と比べると
・TTの遺伝型を持つ人は「粘り強くないタイプ」
・TCの遺伝型を持つ人は「やや粘り強くないタイプ」
・CCの遺伝型を持つ人は「やや粘り強いタイプ」
という遺伝的傾向を持っているといえます。
研究の詳しい内容を見る
米国のカリフォルニア大学が実施したのは、個人の遺伝型と性格診断テストのスコアとの関連解析です。性格診断テストには、クロニンジャー博士が考案した「TCI(気質性格検査)」が使用されました。
研究は、フィンランド人などの11,612人もの欧米人を対象とした大規模なものでした。個人の性格の形成において、遺伝的要素が強く影響していることの決定的な証拠となる遺伝子をこれまでの研究では断定できていなかったため、これまでの研究にはなかった大規模な研究を行うことにしたそうです。
研究の結果、rs17608059というSNPが「T」であると、粘り強さが弱くなると分かりました。研究では「粘り強さ」だけではなく、以前ご紹介した「新しいものへの好奇心」や「報酬依存性」、「用心深さ」についても、同時に解析が行われました。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 粘り強くない
- 12.5%TT
- やや粘り強くない
- 45.7%TC
- やや粘り強い
- 41.7%CC