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高齢時の論理的思考力
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- reasoning-skills
- 研究
- 英国 エディンバラ大学
この研究のふむふむポイント
年をとっても頭脳明晰でいたい!
高齢になってからの論理的思考力を左右する要因としては、社会的な状況、これまでに受けてきた教育、医療、トレーニングなどが挙げられますが、近年、遺伝との関係も研究されています。
「論理的思考力」、どのように測定するの?
研究において論理的思考力の測定に使われたのは、米国の心理学者レーヴンにより考案された、『Raven’s Matricesテスト』というIQテストです。本文中には例題をご用意。頭の体操をしてみてください!
高齢になってからの論理的思考力、遺伝的には...?
エディンバラ大学の研究グループによる研究の結果、高齢になってからの論理的思考力のスコアと関係する遺伝子が見つかりました。
高齢時の論理的思考力についてもっと知る
年をとっても頭脳明晰でいたい!
年をとっても明晰な思考を保つことは、生活の質を高める上でも重要だと言われています。
高齢になってからの思考力を左右する要因としては、社会的な状況、これまでに受けてきた教育、医療、トレーニングなどが挙げられますが、近年、遺伝との関係も研究されているようです。
「思考力」と聞くと、例えば直感的な考え方、分析的な考え方、主観的な考え方、客観的な考え方...と様々な考え方が思い浮かびますが、今回ご紹介するのは、「論理的思考力」です。
英国エディンバラ大学の研究グループの論文によると、とある遺伝型と、高齢になってからの論理的思考力には関係があるようです。
「論理的思考力」をチェック!
研究において論理的思考力の測定に使われたのは、米国の心理学者レーヴンにより考案された、「Raven’s Matricesテスト(レーヴン漸進的マトリックス)」というIQテストです。
図形がある一定の法則で並んでおり、そのうち欠けている部分にどのような図形が入るのかを回答する問題です。何らかの適性検査で見覚えがあるという人もいるのでは...?
例えば、このような問題があります。
これらの図形はある一定の法則で並んでいます。「?」部分に入る図形は、①〜⑥のうちどれでしょうか?(答えはこのページの「研究の詳しい内容を見る」にあります。)
◆第1問
◆第2問
このテストは文字を使わないため、どの年齢の人でも、どの国籍の人でも同じ条件でテストができます。簡単に解けるものから、頭がこんがらがりそうになるものまで様々なレベルの問題があります。
30分程度のウェブテストで、IQを測定できるサイトもあるようです。気になる人は、調べてみてくださいね!
高齢時の論理的思考力と遺伝子の関係とは?
エディンバラ大学の研究グループによる高齢者を対象にした研究の結果、BDNF遺伝子に位置するrs6265というSNPが「AA」だと、論理テストのスコアが高くなる傾向があるとわかりました。
rs6265にはAA,AG,GGの遺伝型がありますが、2つのタイプに分かれます。
・AAの遺伝型を持つ人は高齢になってからの論理的思考が比較的得意なタイプ
・GAまたはGGの遺伝型を持つ人は高齢になってからの論理的思考力が比較的苦手なタイプ
という遺伝的傾向を持っているといえます。
研究の詳しい内容を見る
英国エディンバラ大学の研究グループは、904人の健康な79歳の欧米人を対象に、『Raven’s Matricesテスト(レーヴン漸進的マトリックス)』を使用した論理的思考力に関するスコアと遺伝型の関連解析を行いました。
その結果、BDNF遺伝子に位置するrs6265と、論理的思考力に関するスコアの関連がわかりました。
BDNF(脳由来神経栄養因子)は、成長因子に含まれる神経栄養因子の1つです。脳内で広く発現し、中枢神経系のニューロンの維持、分化等を促しています。
この因子は海馬でも多く発現しており、動物を用いた研究では、学習や記憶など海馬で行われる重要な認知的活動に関係していることがわかっています。
さて、上のテストの答えは...?
第1問:②
第2問:②
(いずれもRaven’s Matricesテストを参考に作成)
いかがでしたか?詳しい解説は、結果ページに掲載しています。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 論理的思考が苦手
- 85.2%GG&AG
- 論理的思考が得意
- 14.8%AA
本研究では、遺伝型に基づき、2種類のタイプに区分されます。 AAは「高齢になってからの論理的思考が比較的得意なタイプ」、GGとGAはともに「高齢になってからの論理的思考が比較的苦手なタイプ」に区分されます。