あなたの結果もわかる!
親知らずの本数
- 原語
- third-molar-agenesis
- 研究
- 日本 昭和大学
この研究のふむふむポイント
「親知らず」は早く抜いた方がいいらしい!?
一番奥の歯「親知らず」。痛い思いをして抜いたという人も少なくないはずです。歯科医などの専門家によると、親知らずは放置しておくと口の中やあごのトラブルに結びつく可能性があるため、早いうちに抜いたほうが良いのだそうです!
日本人は親知らずがそろっていない人が多い!?
歯のX線撮影をしてみると、親知らずが生まれつき存在しない人も見られます。これを「親知らずの欠如」と言います。親知らずが生まれつき4本そろっていない人の割合は人種によって異なることから、遺伝の関与がありそうだと以前から考えられていました。ちなみに日本人は、そろわない割合が高い方なのだそうです。
日本人を対象にした研究、しかも世界初!
日本の昭和大学歯学部を中心とした研究グループは、日本人と韓国人を対象に、世界で初めて親知らずの欠如について、「GWAS」と呼ばれるゲノム研究を行いました。その結果、親知らずの欠如に関連するSNPが見つかりました。
親知らずの本数についてもっと知る
「親知らず」は早く抜いた方がいいらしい!?
一番奥にある4本の永久歯「親知らず」。まだ生えてこない人、曲がって生えて抜いた人、4本しっかり生えそろっている人など、いろいろいると思います。親知らずは「智歯(ちし)」とも呼ばれ、歯科用語では「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし:third molar )」または「8番(前から8番目の歯だから)」などと呼ばれます。
ところで、歯科医などの専門家によると、親知らずは放置しておくよりも、次のような理由から、早いうちに抜いたほうが良いのだそうです。
理由1:生えたときに他の歯に比べてもろく、虫歯になりやすい
理由2:埋もれた歯の周りには「のう胞」と呼ばれる袋ができやすく、これが腫れの原因になる場合がある
理由3:あごの動きに影響して顎関節症の原因になる場合がある
つまり、親知らずは放っておくと、口の中やあごのトラブルに結びつく可能性があるというわけです。「歯を大切に!」というフレーズをよく聞きますが、歯を大切にするために(理由1)抜かれる運命の歯もあるのですね。特に、女性の場合は、出産や育児の時期に抜歯が重ならないためにも早く抜いておいたほうが良いそうです。また、抜歯は体力が必要なため、高齢になる前に抜いたほうが良いとのことです。ただしまっすぐ生えている場合、必ずしも抜く必要はないとのことです!
日本人は親知らずがそろっていない人が多い!?
親知らずは現代人にとって、生えなくても物をかむのに支障がないことから、小さかったり、変形していたりする場合があります。これが、抜かれる運命になる大きな原因となっています。また、歯のX線撮影をしてみると、親知らずが生まれつき存在しない人も見られます。これを「親知らずの欠如」と言います。
親知らずの欠如率(親知らずが生まれつき4本そろっていない人の割合)は、人種によって違いがあると知られています。また、日本人は世界でも欠如率が高い方だと知られています。日本人で欠如が多い理由の1つとして、北方モンゴロイド特有の「平坦な顔つき」が関わっているのではないかという説もあるようです。このように、人種によって違いが見られることから、親知らずの生え方には、何らかの遺伝的な要因がはたらいていると考えられてきました。
これまで、親知らず以外の永久歯の欠如に関連すると報告された遺伝子はいくつかありましたが、親知らずの欠如に関連すると知られる遺伝子はまだ分かっていませんでした。今回、日本の昭和大学歯学部を中心とした研究グループにより、親知らずについての世界初の大規模ゲノム研究が行われました。
日本人の虫歯のなりやすさに関連していた遺伝型は…!?
昭和大学歯学部の研究グループは、親知らずが4本とも存在する人のグループと、1本以上欠如した人(0本~3本存在)の人のグループで、違いが見られるSNPがあるかどうかを探しました。その結果、rs1469622というSNPが「T」であると、親知らずが4本全ては存在せず、欠如する確率が高くなると分かりました。さらに、このSNPの遺伝型を見た結果、「T」の数が1つよりも2つである方が、より欠如している傾向が強くなると分かりました。
rs1469622というSNPには、TT、TC、CCの3通りの遺伝型があります。
日本人平均と比べると
・CCの遺伝型を持つ人は「4本そろうタイプ」
(生えているかどうかに関わらず、親知らずが4本存在している傾向が強い)
・TCの遺伝型を持つ人は「4本そろいにくいタイプ」
(生えているかにどうか関わらず、存在する親知らずが0~3本である傾向がやや強い)
・TTの遺伝型を持つ人は「4本そろわない」
(生えているかどうかに関わらず、存在する親知らずが0~3本である傾向が強い)
という遺伝的傾向を持っているといえます。
※2020/12/10:記事内容を一部変更いたしました。
研究の詳しい内容を見る
日本の昭和大学歯学部を中心とした研究グループは、親知らずの欠如について「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」という大規模なゲノム解析を行いました。GWASは、ゲノム上にたくさん存在するSNPを、2つのグループ間でいっぺんに比較する方法です。親知らずについてのGWASが行われたのはこの研究が世界初だそうです。
研究の対象は、東京に住む日本人と、プサンに住む韓国人。永久歯が生えそろっていると見られる16歳以上500人程度について、歯のX線撮影画像と親知らずの抜歯歴の有無から、もともとの親知らずの数を調べました。その結果から、親知らずが4本存在する(または存在していたが抜いた)338人と、少なくとも1本以上欠如している149人にグループ分けしました。
続いてこの2つのグループの間でGWASを行い、55万以上ものSNPを比較しました。その結果、「THSD7B」という遺伝子の領域(イントロン)に存在するSNPのrs1469622が「T」であると、親知らずが欠如する可能性が顕著に高いと分かりました。この遺伝子から作られるTHSD7Bタンパク質は、血液の凝固などに関連すると知られています。
今後もっと詳しく調べていく必要はあるものの、親知らずの欠如に関連する遺伝子がはっきり分かれば、医学、歯学、人類学、解剖学、系統学など、さまざまな方面の学問に将来的に貢献できるだろうとのことです!
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 4本そろう
- 38.9%CC
- 4本そろいにくい
- 46.9%TC
- 4本そろわない
- 14.1%TT