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MYCODE Researchでは、ゲノムデータなどを活用した共同研究を推進しており、
主にヒトを対象とした基礎研究、臨床試験を目的とした研究等に取り組んでおります。

日本人の網羅的ゲノム解析により遺伝要因が腸内細菌に影響を与えることを確認!
~MYCODE Researchとの共同研究によって思い描く「個別化栄養」への未来像とは~

森永乳業株式会社 小田巻 俊孝 氏

研究本部基礎研究所 腸内フローラ研究室長 主席研究員

牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなど乳製品類の製造、販売を行う森永乳業株式会社(以下 森永乳業)。同社では、腸内細菌が作り出す腸内フローラと宿主である人の遺伝型との関係を明らかにするため、2016年より株式会社DeNAライフサイエンス(以下、DLS)との共同研究を行ってきました。DLSが提供する遺伝子検査サービス「MYCODE」の会員1000名以上を対象に、腸内環境と遺伝型との関連について解析を行い、その結果、日本人の腸内にビフィズス菌が多い理由と遺伝型が関与している可能性や、日本人の腸内細菌の個人差についてゲノム全体の複数の遺伝子多型が影響することを明らかにしました。

MYCODEを活用した研究を取り入れた経緯や、共同研究に取り組んでみての感想を、担当の小田巻 俊孝 氏(以下、小田巻氏)にお聞きしました。

1.御社の事業内容についてお聞かせください

森永乳業は、名前の通り牛乳や乳製品を中心に取り扱っています。もともとは、1917年に練乳を製造する会社として設立されました。1920年から育児用の粉ミルクの製造を開始し、100年間、育児用ミルクの研究開発に取り組んできました。その中で、赤ちゃんの健康に関する研究、そして赤ちゃんの腸内から発見されたビフィズス菌に関する研究にも取り組んできました。母乳の中でも特に初乳に多く含まれる乳たんぱく質のラクトフェリンという機能性素材や、コーヒーなどに入れるクリープという商品も、育児用ミルクの研究や製造技術から派生して生まれてきました。

森永乳業の事業は、一般的な皆さんのイメージは店頭に牛乳やヨーグルトといった商品が並んでいるイメージが強いと思いますが、売上としても、半分以上がそういったBtoC(Business to Consumer)事業となっています。ほかには、育児用ミルクやシニア向け介護食などを扱うウェルネス事業、いわゆる業務用の商品を扱うBtoB(Business to Business)事業、海外事業などがあります。実はビフィズス菌や腸内細菌の研究はこれらの事業と横断的に関わる重要な位置にあり、例えばBtoB事業や海外事業でも、ビフィズス菌や乳酸菌の菌体そのものを販売しています。このような販売先企業の商品で使っていただくようなビジネスが、ここ最近は大きく成長しています。

2019年に策定した森永乳業グループ10年ビジョンの中で、「食のおいしさ・楽しさ」と「健康・栄養」の両立を掲げている通り、我々の想いの中にも、食のおいしさ・楽しさというのはもう当たり前の時代において、さらに健康・栄養といった要素を融合させた取り組みを進めていきたいと考えています。

その中で、ビフィズス菌は、おいしさの中に健康要素を付加するための非常に重要な素材であると我々は考えています。

2.今回の研究を実施されるにあたり、MYCODEをパートナーに選んだ理由を教えてください

我々は50年以上に渡って赤ちゃんの健康に役立つという観点からビフィズス菌の研究を行ってきました。ビフィズス菌は腸内細菌の中心的な菌であり、近年では腸内細菌は我々の健康に密接に関わっていることがわかってきています。

そこで、多くの人の健康に役立つためのアプローチとして、腸内細菌を整えることを我々もごく自然に思いつきました。しかし実際、腸内細菌についてお一人お一人調べてみると非常に個人差があります。そのため、個々人で健康に向かうための最適なアプローチは違うのではないか、と考えるようになりました。

それぞれの人に合ったアプローチを考える上で、そもそもどうして腸内細菌は個々人で大きく違うのかという原因をはっきりさせる必要があります。そこで、私たちはそれぞれの人の腸内細菌のバランスを決定するような要因を研究したいと考えていました。

腸内環境に及ぼす因子として、食事や運動などの様々な生活習慣も報告されていますが、我々は宿主である人の遺伝型にも高い関心をもっておりました。しかし、実際に多くの方の遺伝情報と腸内細菌を同時に調べることになると、非常にハードルが高いと感じていました。そこで、ヒトゲノムに関して先進的な取り組みをされているDeNAライフサイエンスの皆様と一緒であれば、この難しい課題にも取り組めるのではないかと考え、MYCODEを活用した共同研究をスタートさせて頂きました。

3.共同研究を実施した感想をお聞かせください

率直な感想としては、SNP等を扱うプロフェッショナルの方に色々ご指導いただき、本当にたくさんの学びがあったと感じています。

得られた結果という観点からお話しさせていただきますと、今回の共同研究によって、ある特定のSNPが、個々人のビフィズス菌が多い理由と関連する可能性を示していることを明らかにすることができました。日本人の腸内細菌にはビフィズス菌が非常に多いということが、実は昔から言われていましたが、その理由はよくわかっていませんでした。この結果は、我々の長年の疑問に対する答えの一つであり、非常に良かった点であると思っています。

そして、ビフィズス菌に限らず、様々な腸内細菌を対象に遺伝的要因との関連性を調べてみた研究では、特定のSNPのみが関係しているというより、多くのSNPが複合的に腸内細菌の構成に影響を与えているのだろうと推察される結果を得ることが出来ました。

一見すると、明確な結果が出なかった、と捉えられるかもしれませんが、腸内細菌はやはり様々な要因、SNP一つとっても複雑に絡み合って影響を受けていることを、改めて示唆するデータが得られたことは、今後の研究を考えて行く上で非常に価値の高い成果であったと感じています。

4.今回の研究を経ての今後の展望や、今後一緒に研究したいとお考えのことがあればお聞かせください

まさしく昨今は、個別化医療において人の遺伝型を活用した取り組みが進んできています。その中で、「個別化栄養」や「プレシジョン栄養学」という観点は、我々食品メーカーにとって、今後避けては通れないところだと考えています。

私の想いは最初から変わっておらず、これまで得られた腸内細菌に関する知見を踏まえつつ、ひとりでも多くの方々の健康に寄与できる手段をご提案できればと考えています。まだまだ謎の多い、ゆえに興味深い腸内細菌研究を、引き続きご支援いただければ幸いです。


森永乳業との共同研究詳細は以下よりご確認いただけます。

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