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座りがちな行動 -ドライブ-
- 原語
- driving-behaviour
- 研究
- オランダ フローニンゲン大学医療センター
この研究のふむふむポイント
余暇はドライブで気分転換できる?
実は、ドライブ行動も座りがちな行動の1つとして定義されています。
健康とドライブ行動は関係があるの?
1953年にMorrisらによって報告された論文では、ロンドンの2階建てバスの運転手は、車内を動き回っている車掌よりも不健康だったそうです。
余暇のドライブ行動と遺伝子の関連性
オランダのフローニンゲン大学医療センターの研究では、余暇のドライブ行動に関連があるSNPがARFGEF2遺伝子の近傍に見つかりました。
座りがちな行動 -ドライブ-についてもっと知る
余暇はドライブで気分転換できる?
仕事も一区切りついたし、今日はドライブでもして美しい景色を見て気分転換でも・・・と思っているあなた。実は、ドライブ行動も座りがちな行動の1つとして定義されています。
長時間同じ姿勢のままシートベルトで固定され、動かせるのは手足と頭だけですよね。高速道路での長距離ドライブ、あるいは渋滞にはまってしまったり・・・。
運転後に、足がむくんでしまった、ひどい肩こりが・・・などの経験があるのではないでしょうか。
気分転換のつもりが、ただ疲労が溜まってしまっただけなんてことも!
健康とドライブ行動は関係があるの?
現在は、ロンドン名物となっている、赤い2階建てバスであるルートマスターは、1950年当時は運転手と車掌が常駐していました。
1953年にMorrisらによって報告された論文では、ルートマスターの運転手は、車内を動き回っている車掌よりも冠動脈血栓症になる頻度が高かったそうです(※1,2)。
ただし、2020年に報告されたオランダのフローニンゲン大学医療センターの研究では、ドライブ行動と冠動脈疾患のなりやすさは統計学的には相関していないことが示されています(※3)。
余暇のドライブ行動と遺伝子の関連性
オランダのフローニンゲン大学医療センターの研究では、ARFGEF2遺伝子近傍に存在するrs6012558と呼ばれるSNPが、余暇のドライブ行動に関連性が高いことが明らかになりました。
研究によれば、rs6012558に「G」を持つ人の方が「A」を持つ人より、余暇にドライブをする傾向にあります(※3)。
rs6012558にはGG、GA、AAの遺伝型がありますが、 日本人平均と比べると
・GGの遺伝型を持つ人は「余暇にドライブに出かけるタイプ」
・GAの遺伝型を持つ人は「余暇にほぼドライブに出かけないタイプ」
・AAの遺伝型を持つ人は「余暇にドライブに出かけないタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
オランダのフローニンゲン大学医療センターの研究グループは、余暇の座りがちな行動を把握するために、UKバイオバンクの40〜69歳の503,325人を対象としてアンケートを行い、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施しました。アンケートの内容は、余暇に「何時間テレビを視聴しますか?」、「仕事以外でコンピューターを何時間使用しますか?」と「運転を何時間しますか?」の3つの質問です。
解析は、ヨーロッパ人を祖先とする、1日の平均テレビ視聴時間が2.8時間、コンピューター使用時間が1.0時間、運転時間が0.9時間である424,953人(男性47.7%、女性52.3%、平均年齢57.4歳)を対象に行いました。その結果、統計学的に有意差のあるSNPが、テレビ視聴は145個、コンピューターの利用は36個、ドライブ行動は4個見つかりました。
3つの座りがちな行動間の関連性は、スピアマンの順位相関で検定しました。また、3つの座りがちな行動と、冠動脈疾患や学歴、BMIなどの他の表現型との遺伝的相関は、メンデルランダム化(MR)解析を実施しました。
余暇のドライブ行動に関連性の高いSNPは、rs6012558でした。このSNPはARFGEF2遺伝子の近傍の遺伝子間領域に存在します。ARFGEF2遺伝子はゴルジ体などの細胞内小胞輸送で重要な役割を果たすADP-ribosylation factorsをコードします(※4)。
この研究から、3つの座りがちな行動のうち、観察的、および遺伝的に余暇のテレビ視聴による座りがちな行動の増加のみが、冠動脈疾患の危険因子であるという仮説に対して、裏付けを得ることができました(※3)。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 余暇にドライブに出かける
- 74.1%GG
- 余暇にほぼドライブに出かけない
- 23.9%GA
- 余暇にドライブに出かけない
- 1.9%AA