あなたの結果もわかる!
食の好み -はちみつ-
- 原語
- honey
- 研究
- 英国 エディンバラ大学
この研究のふむふむポイント
実は、はちみつの歴史は長かった
はちみつは、古代の壁画やギリシャ神話に登場するほど昔から愛され続けてきました。
はちみつの効能って?
はちみつには美容や健康にうれしい様々な栄養成分が豊富に含まれています。
はちみつはちょっと苦手・・・と感じているのは遺伝子のせいかも!
英国のエディンバラ大学の研究グループによると、rs10852521というSNPに「C」を持っていると、「T」を持っている人よりもはちみつを好む傾向にあるそうです。
食の好み -はちみつ-についてもっと知る
実は、はちみつの歴史は長かった
はちみつは、昆虫由来の唯一の天然産物です。はちみつの歴史は長く、紀元前6000年ごろまで遡るとも言われています。今から8000年前のスペインのアラーニャ洞窟の壁画には「はちみつを採取する人間の姿」が描かれています(※1)。
ギリシア神話では、アリスタイオスという「養蜂の神様」が登場します(※2)。実は、はちみつは昔から人々にとって身近な甘味料であり、薬としても利用されてきました。
はちみつの効能って?
そのまま食べても、ちょい足しや隠し味としても万能なはちみつ。はちみつの主成分は炭水化物で、タンパク質、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、有機酸など、少なくとも181種類の成分が含まれています。効能としては、抗菌作用、咳・のどの痛み対策としての抗炎症作用(※3)、また、保湿剤として化粧品にも含まれており(※4)、健康と美容にうれしい多くの効果があるそうです。
様々な花からミツバチによって採取されるはちみつは、花の種類、収集時期、環境によって成分が異なります。ニュージーランドで植生するマヌカ(Leptospermum scoparium)という花から採取されるマヌカハニーは、抗菌作用がよく知られています(※5)。
しかしながら、いくら健康と美容にうれしい食材とはいえ、食べすぎは肥満などにつながってしまいますので気をつけてくださいね。
はちみつはちょっと苦手・・・と感じているのは遺伝子のせいかも!
そんな健康と美容にうれしい効果をもつ「はちみつ」を好むかどうかに、遺伝的な関連があることが分かりました。
英国のエディンバラ大学アッシャー研究所グローバルヘルス研究センターを中心としたグループの研究によると、rs10852521というSNPに「C」を持っていると、「T」を持っている人よりも、はちみつを好む傾向にあることが明らかになりました(※6)。
rs10852521にはCC、CT、TTの遺伝型があり、日本人平均と比べると
・CCの遺伝型を持つ人は「はちみつが好きなタイプ」
・CTの遺伝型を持つ人は「はちみつがやや好きではないタイプ」
・TTの遺伝型を持つ人は「はちみつが好きではないタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
英国のエディンバラ大学アッシャー研究所グローバルヘルス研究センターを中心とした研究グループは、UKバイオバンクの参加者161,625人を対象に、食べ物の好みに関するゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、11の独立したコホート(集団)で最大26,154人の解析結果を検証しました。
食べ物の好みは、遺伝的要因、生物学的要因、心理学的要因、環境的要因、および文化等、複数の影響を受ける複雑な特性と考えられています。
この研究では、139の食品を①デザートや肉など多くの人が好む食品、②野菜や果物などの低カロリーの食品、③無糖コーヒーやアルコールなどの後天的に好むようになる食品、④甘いカフェイン飲料の4グループに分け、アンケート調査を行いました。アンケートでは1を「非常に嫌い」、9を「非常に好き」の9段階で評価しました。
次にゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、遺伝的相関と表現型を比較しました。その結果、遺伝型と食べ物の好みの間に高い相関関係があることがわかりました。
遺伝型との関連解析の結果、16番染色体上のFTO遺伝子のイントロンに存在するrs10852521というSNPが、はちみつを好むかどうかと関連していました。FTO遺伝子は、核タンパク質をコードしていますが、正確な生理機能は不明です(※7)。
この研究の結果から、遺伝型と様々な食べ物の好みとの関連性を検証することで、食べ物の好みが、文化や個人の感覚に根ざしているだけでなく、遺伝学的な要素にも起因することがわかりました(※6)。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- はちみつが好き
- 44.6%CC
- はちみつがやや好きではない
- 44.4%CT
- はちみつが好きではない
- 11.0%TT
参考文献
※1.ルーシー・M. ロング (著), 大山 晶 (訳), ハチミツの歴史 (「食」の図書館)、原書房
※2.アポロドーロス (著), 高津春繁(訳), ギリシア神話、岩波文庫
※3.Saeed Samarghandian, Honey and Health: A Review of Recent Clinical Research, Pharmacognosy Res.
※4.Anna Kurek-Górecka, Bee Products in Dermatology and Skin Care, Molecule.
※5.加藤陽二, マヌカハニーの特徴とその機能性, 日本家政学会誌
※7.FTO FTO alpha-ketoglutarate dependent dioxygenase [ Homo sapiens (human) ]
【対象SNP】rs10852521