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左利き
- 原語
- left-handedness
- 研究
- オーストラリア クイーンズランド大学
この研究のふむふむポイント
利き手は遺伝する?
親子揃って左利きの人や、身内はみんな右利きなのに、なぜか自分だけが左利き!なんていう人はいませんか。実は、利き手の決定には多くの遺伝的要因と環境的要因が関わっています。
左利きと両利きは違うの?
左利きの人が子供の頃に右利きに矯正されたり、利き手にケガをして、結果的に両利きになる人もいますが、遺伝的に両利きになりやすい人もいるそうです。
右利きだと思っていたけど、無意識に左手を使っていることが・・・もしかしたらそれは遺伝子のせいかも?
オーストラリアのクイーンズランド大学を中心とした研究グループによると、rs3132584というSNPに「T」を持っていると、「G」の人よりも左利きになりにくい傾向にあるそうです。
左利きについてもっと知る
利き手は遺伝する?
身内はみんな右利きなのに、なぜか自分だけが左利き!という人や、親子揃って左利きで遺伝しているような人もいます。少数派である左利きの方々には、右利き社会は不便なことが多いですよね。例えば、駅の自動改札、カメラ、文房具が右利き用で使いづらいなど・・・
最近は、利き手の矯正はあまり行われなくなってきましたが、矯正は精神的ストレスによって吃音症を発症してしまったり、左右の識別が混乱するなど、体に悪影響を及ぼすことがあります。
イギリスの故エリザベス女王の父親であるジョージ6世は、子供の頃に利き手を厳しく矯正され、重度の吃音症になってしまいました。国王になってからは、スピーチが苦手で大変苦労した話は映画にもなった有名な話です。
オーストラリアのクイーンズランド大学の研究によると、利き手の決定には多くの遺伝的要因と環境的要因が関わっていることがわかりました。
左利きと両利きは違うの?
利き手とは、片方の手を、もう片方の手より優先的に使用する方を指します。両利きとは、同じ動作を両手で同じように行うことができることです。
左利きの人が、子供の頃に矯正されたり、利き手にケガをして結果的に両利きになった人もいます。スポーツ選手が訓練をして両利きになる場合もありますね。
オーストラリアのクイーンズランド大学の研究では、右利きと両利きの人を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施しました。その結果、両利き特有のSNPが存在しました。左利きと両利きでは、遺伝的な相関が低いことから、左利きと両利きでは異なる遺伝的なメカニズムが影響していると考えられるそうです。遺伝子相関解析では、利き手にケガをして結果的に両利きになった人も多いという傾向がありました(※1)。
右利きだと思っていたけど、無意識に左手を使っていることが・・・もしかしたらそれは遺伝子のせいかも?
利き手の決定は、多遺伝子性であることが分かりました。
オーストラリアのクイーンズランド大学を中心とした研究グループによると、rs3132584というSNPに「T」を持っていると、「G」の人よりも左利きになりにくい傾向にあることが明らかになりました。
rs3132584にはTT、TG、GGの遺伝型があり、日本人平均と比べると
・TTの遺伝型を持つ人は「右利きになりやすいタイプ」
・TGの遺伝型を持つ人は「やや右利きになりやすいタイプ」
・GGの遺伝型を持つ人は「左利きになりやすいタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
オーストラリアのクイーンズランド大学を中心とした研究グループは、UKバイオバンク(イギリス最大の遺伝子情報バイオバンク)、23andMe(アメリカ最大の遺伝子検査企業)、国際利き手コンソーシアム(既存の32コホート(集団)のGWASデータを集めたコンソーシアム)の、ヨーロッパを祖先とする1,766,671人を対象として、ゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタ解析を実施しました。参加者は1,534,836人の右利きと、194,198人の左利き(全体の11%)が含まれます。一般的に、GWASは解析規模が大きいほど目的の表現型に関連するSNPを発見する精度が上がります。
また、両利きのGWASは、UKバイオバンクと23andMeの両利き37,637人、右利き1,422,823人を対象として実施しました。
UKバイオバンクのデータは、ライフスタイルのアンケート結果から、利き手に関する情報を収集しました。23andMeは、オンライン調査での、利き手の自己申告結果です。国際利き手コンソーシアムは、どちらの手で字を書くか、または自己申告の利き手のアンケート結果を基にしています。
解析の結果、左利きは41個、両利きは7個のSNPで有意差がありました。
rs3132584は左利きのSNPであり、第6染色体のTUBB遺伝子のイントロンに存在します(※2)。この遺伝子は微小管の形成と調節に関与する遺伝子のひとつです。
この研究は、利き手のGWASでは世界最大規模の解析です。結論として、利き手の決定は多数の遺伝子が関わる多遺伝子性であり、遺伝的要因と環境的要因が関わっていることがわかりました。また、微小管に関与する遺伝子群が利き手の決定に関与していることが示されました(※1)。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 右利きになりやすい
- 5.1%TT
- やや右利きになりやすい
- 35.0%TG
- 左利きになりやすい
- 59.9%GG