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歩く速さ
- 原語
- walking-pace
- 研究
- 英国 レスター大学
この研究のふむふむポイント
ウォーキングは、時間や歩数よりも、歩行速度が重要!?
ウォーキングは簡単で健康に有益であるとして、広く推奨されている運動です。 「歩行時間」や「歩数」に注目される方が多いですが、実は健康のためには、「歩行速度」が重要なことがわかっています。
前を向いて歩こう!
歩行機能が低下している人は、歩行中の視線が下向きになる傾向があるようです。一度ご自身の歩行中の視線に意識を向けてみるのはいかがでしょうか。
歩行速度に関する遺伝型、あなたはどのタイプ?
英国のレスター大学の研究グループによると、rs2280406というSNPに「G」を持つ人は「A」を持つ人より歩く速度が速い傾向にあるそうです。
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ウォーキングは、時間や歩数よりも、歩行速度が重要!?
ウォーキングは簡単で健康に有益であるとして、広く推奨されている運動です。
公衆衛生上の推奨事項として、特に「歩行時間」と「歩数」に焦点が当てられていますが、近年の研究では「歩行速度」が心肺機能や、がんの転帰(最終的にどうなったか)やリスク低下と関連していることがわかったそうです。更に、BMIや喫煙といった危険因子の影響を考慮した場合でも、歩行速度が、全死因死亡率の最も高い予測因子として特定されています(※1)。
前を向いて歩こう!
歩行の制御には、視覚情報が重要になってきます。
脳卒中により片側に麻痺が残る脳卒中片麻痺者を対象にした研究や、転倒する危険性の高い高齢者と、若齢の健常者を比較した研究では、歩行機能(歩行速度が遅い、歩幅が狭いといった特徴が顕著)が低いほど、歩行中の視線が下向き傾向になることがわかっているそうです。
若齢の健常者は、3m程度先のターゲットに視線を向けながら歩行をしている一方、転倒する危険性の高い高齢者は、より近いターゲットに視線が向けられており、視線が下向きになる傾向があるそうです(※2)。
歩いている際に、下を向いている自覚がある方は、歩行機能が低下している可能性があるので、注意してみてくださいね。
歩行速度も遺伝型が関係している?
このように、健康の指標にもなる「歩行速度」ですが、英国のレスター大学を中心とした研究グループによる研究の結果、rs2280406というSNPに「G」を持つ人は「A」を持つ人より歩く速度が速いことが明らかになりました(※1)。
rs2280406にはGG、GA、AAの遺伝型がありますが、日本人平均と比べると
・GGの遺伝型を持つ人は「歩く速度が速いタイプ」
・GAの遺伝型を持つ人は「歩く速度がやや遅いタイプ」
・AAの遺伝型を持つ人は「歩く速度が遅いタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
英国のレスター大学を中心とした研究グループは、UKバイオバンク研究の参加者およそ50万人を対象に、自己申告アンケートによる歩行速度に関する調査を実施し、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。
自己申告アンケートでは、「普段の歩行ペースをどのように表現しますか?」という質問に対して、「遅い」「普通」「速い」「上記のいずれでもない」「答えたくない」という5つの選択肢から回答を選択してもらうことで、歩行速度の調査を行いました。速さの定義は「遅い:時速5km未満」「普通:時速5〜7km未満」「速い:時速7km以上」としました。
GWASでは、自己申告アンケートで「上記のいずれでもない」「答えたくない」と回答した人を除く、450,967名のヨーロッパ人のデータが用いられました。
遺伝型と表現型の関連解析の結果、3番染色体上のMST1Rという遺伝子の5’非翻訳領域に存在するrs2280406というSNPが歩行速度と関連していることがわかりました。
この研究の結果、歩行速度と遺伝型との関連が明らかになった他、歩行速度の増加は、心血管代謝リスクの低下や、教育年数といった学力や認知力、握力に関連していることがわかりました。
また、歩行速度に関連する70個の遺伝子座が特定されましたが、その遺伝率は13.2%と推定され、歩行速度の遺伝的な要因はわずかであることがわかりました。そのため、歩行速度は大幅に変更可能であり、適切な速度で歩くことが健康に重要であると考えられます(※1)。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 歩く速度が速い
- 65.3%GG
- 歩く速度がやや遅い
- 31.0%GA
- 歩く速度が遅い
- 3.7%AA