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生理の周期と妊娠しやすさには関係があった?

公開日:2018年9月12日
更新日:2019年1月23日

妊娠しやすさも遺伝子が関係していた!?(写真:Shutterstock.com)

生理に関係する様々なホルモン

 月に一度訪れる生理(月経)。おなかが痛くなったり、頭が痛くなったりという生理痛がひどい方や、生理の前から体調が優れなくなるという方も中にはいるかもしれませんね。そんな生理、どのようなメカニズムで起こっているのか、ご存じですか?

 月経周期は出血が始まった日を開始日として、この日を1日目とします。そして、次の生理が始まるまでの期間が1回の月経周期となります。個人差はありますが、月経周期の長さは通常25日から38日とされています。
 
 生理にはエストロゲンやプロゲステロンなど様々なホルモンが関与し、それらが協調して働くことで生理が周期的に起こります(※1)。そのうちの一つである、卵胞刺激ホルモン(FSH)は卵胞に作用し、卵子の成熟を促すホルモンであることが知られています。

ホルモン関連遺伝子が妊娠に与える影響とは?

 卵胞刺激ホルモン(FSH)を受け取るFSH受容体の遺伝子は、人によって配列が異なる部分が存在し、それにより受容体タンパク質を構成しているアミノ酸も変化します。FSH受容体の680番目のアミノ酸がセリンの人はFSHの刺激の感受性が低くなり、月経周期が長くなることが知られています。

 月経周期の乱れは妊娠と深く関係しています。そこで、リトアニア大学を始めとする研究グループは、21歳から34歳の自然妊娠で出産した291人の女性のFSH受容体の遺伝型と妊娠するまでの期間について関連解析を行いました。するとFSH受容体の680番目のアミノ酸がセリンの人はそうでない人と比べ、妊娠までにかかる平均期間が半年も長いことがわかりました。また、妊娠するまでに1年以上かかった人が3割以上いることも明らかになりました(※2)。

 これは、月経周期が長くなることで、妊娠のタイミングがつかみづらくなっていることが推測されます。今後、この遺伝型の研究が進むことで、不妊に悩む方に新たな治療を提案できるようになるかもしれませんね。

 生理は、体の調子が悪くなるなど、大変厄介なものではありますが、卵巣や子宮の異常に早く気付けたり、妊娠したりするために必要な大事な現象です。何かおかしいな、と感じたら医療機関を受診しましょう。

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。