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【医師によるコラム】卵は健康の敵か、それとも・・・
食事のコレステロールを減らしたいとき、やり玉に上がることが多い卵。卵は確かにコレステロールが多く含まれているのですが、それでは卵は健康に悪いのでしょうか?最近では、意外にそうでもないということがわかってきたそうです。
コレステロールが高い人に卵はダメ?
こんにちは。六号通り診療所の石原です。
コレステロールが高いことが健康診断で分かりました。まずは食事のコレステロールをなるべく減らしましょう、ということになると、やり玉に上がることが多いのは卵です。
卵は中くらいのサイズのもの1個に、200ミリグラムくらいのコレステロールが含まれています。「1日のコレステロールの摂取量を、300ミリグラム以下にしましょう」というのがコレステロールが高めの人に対しての栄養指導の1つの基準になりますから、卵を食べるとそれだけで3分の2を摂ることになり、後は殆どコレステロールが食べられなくなってしまいます。
それでは、卵は健康に悪いのでしょうか?意外にそうでもない、というのが最近の考え方です。
卵を1日1個食べていると糖尿病になりにくい
今年のAmerican Journal of Clinical Nutrition誌に掲載された論文では、中高年の男性は卵を1日1個以上摂っている方が、摂っていない人より糖尿病にはなり難かった、という結果が報告されています(※)。
意外に感じますが、卵を毎日1個食べても、血液のコレステロールは殆ど上がっていません。この論文以外にも卵は、インスリンの効きを良くして動脈硬化の原因である血管の炎症を抑える、という報告があります。
つまり、糖尿病や動脈硬化による病気を、1日1個の卵は予防する可能性があるのです。
最も動脈硬化の抑制効果が高い食事と言われている、地中海ダイエットは、卵の摂取を制限していますから、卵が良いと言い切ることは出来ないのですが、1日1個以内であれば、多くの場合に健康上の問題はなく、むしろ生活習慣病の予防に繋がる健康食であると考えて間違いはなさそうです。
執筆者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。