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病気・医療

「全身の健康は歯の健康から」歯が抜けることと動脈硬化の意外な関係

公開日:2015年1月28日
更新日:2020年11月5日

口の健康は体の健康と密接に関わっています。毎日の歯磨きや歯の定期健診を大事にしましょう!(写真:Shutterstock.com)

お口の状態は健康のバロメーター

 『全身の健康は歯の健康から』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?口は食べ物を摂取した時、外から入ってくるものにまず最初に触れる場所です。そんなお口の中の状態が乱れていると、食生活や免疫にも影響が出て結果的に全身が不調になってしまう、といわれているのです。

 京都大学の研究グループは、2014年11月、口の健康と血管の病気である動脈硬化の間に関連があると報告しました。

歯が抜けると血管が硬くなる!

 研究グループは、30歳~75歳の日本人8124人について、歯並び矯正や外傷ではなく、口腔内の病気による歯の抜け落ちと動脈硬化との間に関係があるかどうかを調べました。動脈の硬さの計測は、日本で開発された「CAVI(キャビィ)」という方法で、専用の機械を用いて測定されました。これは手足の血圧や脈を計測するだけで、簡単に血管の硬さを判定するという方法です。

 年齢、性別、BMI、喫煙、薬の服用歴などによる影響を調整し、統計学的に解析したところ、歯周病等により歯を失っている人は、特に男性において、動脈が硬くなっている傾向にあることがわかりました(※)。

やっぱり口の不健康は万病のもと?

 動脈硬化が進むと脳梗塞や心筋梗塞などにつながることが知られており、今回の研究で口の健康状態がこれらのリスクにも関わっているかもしれない、ということが示唆されました。また、歯周病とメタボリックシンドロームの関係について言及している研究もあり、まさに口の不健康は万病のもとといえるのかもしれません。

 『全身の健康は歯の健康から』ということで、歯医者さんで虫歯や歯周病等を定期的にチェックしてもらうのがいいかもしれません。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Asai K, Tooth Loss and Atherosclerosis: The Nagahama Study., J Dent Res.


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