• 鉄分
  • 貧血
  • 女性
病気・医療

貧血気味で朝からダルい・・・という方、ヘモグロビン足りてますか?

公開日:2015年6月16日
更新日:2021年8月20日

 最近疲れやすい人、もしかして鉄分不足の貧血かもしれません。特に生理のある女性は、鉄を積極的にとる必要があるといわれているのですが、なぜ鉄分が大切なのか知っていますか?


最近疲れやすい、という方は、鉄分不足の貧血を疑ってみては?(写真:Shutterstock.com)

その症状、もしかすると貧血かも?

 最近疲れやすい、朝がつらい。それ、もしかすると貧血かもしれません。

 貧血は、血液の中に含まれている赤血球の数が少なくなっていたり、赤血球に含まれるヘモグロビンが基準値より少ないことで定義されます。例えば、ヘモグロビン濃度では、男性では13.0g/dl、女性では12.0g/dl以下になると貧血と定義されています(※)。

 貧血には色々な原因があるのですが、その多くは体に鉄分が足りないことによる貧血(鉄欠乏性貧血)だといわれています。

 一方で、貧血には胃がんなどの重大な病気が隠れている場合もあるため、貧血が続いている場合には軽視しないことが大切です。

「ヘモグロビン」とは?どんな働きをしているの?

 ところで、健康診断の血液検査の項目にも入っている「ヘモグロビン(Hb)」、鉄分不足の貧血には、このヘモグロビンが大きく関わっているのですが、どういったものなのか知っていますか?

 ヘモグロビンは、血液の中に存在しています。血液の中には赤血球、白血球、血小板と呼ばれる3種類の細胞がたくさん含まれており、それらは血管を通って体中を駆け巡っています。ヘモグロビンはそのうちの赤血球に含まれているたんぱく質で、酸素を運ぶ役割をもっています。ヘモグロビンのおかげで肺からとりこまれた酸素は全身に行き渡ることができるのです。

鉄分が足りなくなると?

 そして、このヘモグロビンを作るためには「鉄分」が必要です。もし鉄分が不足してヘモグロビンが作られなくなると、体中が酸素不足になって様々な障害をおこし、ついには酸素がなくなったところから死んでいきます。

 では、貧血の人の体は死にかけてるということなのでしょうか?いいえ、実際はそうならないために、心臓がいつも以上にがんばって働き、体に酸素を行き渡らせようとします。しかし、結果として体中に負担をかけてしまうため、体がだるい、疲れやすい、動悸や息切れがする、めまいや立ちくらみがある、頭が重い、肌荒れ、顔色が悪くなる、などの症状が現れてしまいます。

 鉄分不足の貧血は他にも様々な症状を引き起こし、うつ病になりやすくなるなどともいわれているのです。もし、思い当たる人は病院で貧血の検査をしてみましょう。

鉄不足になったらどうしたらいいの?

 もし、鉄分不足だった場合、鉄分をきちんととることが必要です。魚、肉(レバーなど)や卵などを意識してとったり、鉄分の吸収をよくするために一緒にビタミンCをとるのも良いようです。

 特に女性は、毎月の生理で大量の鉄が失われてしまうので、食事で鉄分を積極的にとる必要があるといわれています。

 ただし、どんなものでも限度があり、鉄分の過剰なとりすぎはさまざまな健康への害があることがわかっていますので注意してくださいね。

 やはり、食事は1日3食を規則正しく食べること、主食、主菜、副菜を組み合わせて食べることなど、当たり前のようですがついつい乱れてしまう食生活を見直すことが大切です。

お茶やコーヒーを飲んではいけないって本当?

 お茶やコーヒーに含まれるタンニンは鉄分の吸収を邪魔してしまうといわれているので、鉄分不足が気になる人はお茶やコーヒーなどを食後すぐに飲まない方がよいかもしれません。

 ただ、お茶やコーヒーには健康に良い面もあるので、お茶を飲むタイミングに気をつけたり、普段から鉄分を取るようにするなど工夫してみましょう。

鉄不足になる体質は遺伝?

 鉄不足による貧血は食事などの習慣が大きく関わっている部分もあるのですが、やはりもともと貧血になりやすい人はいるようです。

 最新のゲノム解析研究では、ヘモグロビンの量や、体内の鉄分などのミネラル量の傾向などにも、遺伝子の配列の違いが影響をあたえていることがわかってきました。遺伝子を調べることで、自分の体質についてより深く知ることができ、リスクに対しても効果的に対策がとれるかもしれません。

 MYCODE「ヘルスケア」では、ヘモグロビンの量や体内のミネラル量(鉄)について、体質の遺伝的な傾向を調べることができます。あなたもチェックしてみませんか?


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

World Health Organization, Haemoglobin concentrations for the diagnosis of anaemia and assessment of severity.