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乳がんの「マンモ検査」、ある症状がでた人は受けるべき!?

「マンモグラフィ」の有効性をめぐる研究
乳がんのレントゲン検査「マンモグラフィ」をめぐっては、海外では一般の健康な女性を対象として幅広く実施する検診手段としての効果に疑問視をするような研究結果もあり、議論が続いています。
しかし「乳房に痛みを感じて病院を受診した人」に対して診断を行うための検査にはマンモグラフィが適しているという報告が米ミシガン大学の研究グループによりなされました。
「乳房の痛みがある」人で乳がんの早期発見につながるかの検証
ところで、乳がんの主な初期症状には次の5つがあります。
1)乳房の形や色がおかしい(しこりやくぼみができた、赤くなっている、など)
2)乳首の様子が変わった(陥没した、ただれている、出血や分泌物がある、など)
3)乳房が痛い
4)乳房が熱をもって熱い
5)首やわきの下が腫れている
今回、研究グループは、この中で「3)乳房が痛い」だけの症状を訴えて受診した600人強を対象として、精密検査でマンモグラフィを行うことが、どれだけ乳がんの早期発見に有効であったかを検証しました。対象者の平均年齢は49歳でした。
痛みのあるところに出来ているがんを効率よく発見できた
結果、マンモグラフィ検査を受けて、乳がんが発見されたのは1.8%にあたる11人でした。このうちの9人は、まさに痛みのある場所にがんが出来ていました。また、がんではない「良性の腫瘍」が見つかったのは1割にあたる63人でした(※)。
今回の結果を総合的に分析した結果、「乳房に痛みを感じる人に対する乳がんのマンモグラフィによる精密検査」で、がんになっていない場合に「がんではない」と判断できる確率は98.5%、最初のマンモグラフィ1回のみで「がんである」と判断できた確率は66.7%でした。
一人でも多くの人が乳がんから救われるように、女性はもちろん、男性の読者の方も、お母さんやパートナー、友人など、このことを身近な女性に教えてあげてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、現在日本では40歳以上で2年に一度のマンモグラフィが乳がん検診として行われています。マンモグラフィに関しては色々な意見がある中で、マンモグラフィよりも有効性がある乳がん検診は確立していないのが現状です。不安なことがある方はどのような検診を受けるのが良いかなど、医療機関に相談して下さい。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。