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病気・医療

がんの3分の2は「不運」から起こる?

2015年02月02日 14時00分

がんになる最も大きな原因は?(写真:Shutterstock.com)

細胞が分裂する数とがんになるリスクの関係

 がんは、我々の体の設計図であるDNAが傷つき、部分的に「変異」することにより発症するといわれています。

 米国の研究グループは、さまざまな組織の元になる、「幹細胞」と呼ばれる細胞の分裂回数と、がんのリスクには関係があることを示し、がんになる要因は、遺伝子や環境的な要因よりも、「不運」が多くの原因を占めているという驚きの報告をしました。

がんになるのは不運、それが最も多い原因!

 幹細胞とは、皮膚、目、内臓、骨などといった様々な組織を形成するそれぞれの細胞を作り出すための、元になる細胞です。

 研究グループはこの幹細胞が分裂する数を各組織ごとに調べ、それぞれの組織ごとのがん発生率との関連性を調べました。その結果、幹細胞分裂の回数が多いほど、がんのリスクが高くなることが明らかになりました(※)。

 これはつまり、どういうことでしょうか?

 正常な幹細胞が分裂するとき、ランダムにDNAに変異が起こり、この変異によって細胞は時々がん化することがわかっています。幹細胞は、細胞の元になる細胞のため、がんになってしまうとそこから現れた細胞はすべてがん細胞となってしまうのです。つまり、正常な体で必ず起こる分裂において、ランダムにがんになる可能性がある、ということなのです。

 今回の研究の結果、幹細胞の分裂が多いほど、つまりランダムなDNA変異が起こるほどがんのリスクが高くなっていたということは、自然な細胞分裂にともなうランダムながん発生のメカニズムが、大きく影響している可能性を示しているのです。

 研究では、この「不運な」原因、ランダムな原因が、がん全体の約3分の2の原因となっているとしています。残りの約3分の1の原因が、環境要因や遺伝子が原因だということです。

残りの3分の1は遺伝子と環境が原因

 研究グループは、がんという病気について理解を深め、がんによる死亡率を抑えるための今後の戦略を立てるために、この研究が役立つだろうと考えているようです。

 喫煙や過剰な飲酒、その他の不健康な生活習慣は、ランダムな不運に加えて、さらにリスクを増やしてしまいます。せめて、自分で防ぐことのできるリスクだけでも少なくしたいものです。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Tomasetti C, Cancer etiology. Variation in cancer risk among tissues can be explained by the number of stem cell divisions., Science.


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