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男性の避妊手術と前立腺がんの発症に関連があった!?
これまで安全と思われていた男性の避妊手術。米国の研究グループがショッキングなデータを発表しました。避妊手術と前立腺がんとの関連を調べて明らかとなった結果とは?

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。(写真:Garry Knight/クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 2.0 一般)
男性の避妊手術、「バゼクトミー」。日本ではパイプカットとして知られています。精巣で作られた精子は、精管と呼ばれる細長い管を通って尿道まで運ばれますが、この精管を切断する手術をバゼクトミーと言います 。バゼクトミーによる避妊率は高く、アメリカでは男性の一般的な避妊法となっています。
しかし、アメリカのハーバード公衆衛生大学院らの研究グループは、バセクトミーにより前立腺がんのリスクが高まることをジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー誌に報告しました。
相反する報告があったが・・・。24年の追跡調査の結果は?
これまでにもバゼクトミーで前立腺がんリスクが高まるという報告はあったものの、相反する研究結果も報告されており、はっきりしていませんでした。
そこで、研究グループは、1986年の時点で40~75歳のアメリカ人男性約4万9千人を対象に、24年間の追跡調査を行うという大規模な調査を行いました。
この調査の中で、期間内に6023人が前立腺がんと診断され、そのうち811人は致命的ながんでした。そして、解析対象の25%にあたる約1万2千人が避妊手術を行っていました。
避妊手術は致命的ながんと関連があった
前立腺がんとバゼクトミーとの関連を調べたところ、避妊手術をすると前立腺がんのリスクが約1割高いことがわかりました。
しかし、がんの悪性度との関連を調べてみると、悪性の前立腺がんや致命的ながんになるリスクは2割程度高くなっていたのです。
一方で、軽度や非転移性のがんとの関連や性ホルモン、性感染、がんの治療法の差による影響は認められなかったようです。
これまでは避妊率が高く、安全と思われていたバゼクトミーですが、今回の調査によって、悪性度の高い前立腺がんとの関連が見えてきました。
参考文献
Siddiqui MM et al. Vasectomy and Risk of Aggressive Prostate Cancer: A 24-Year Follow-Up Study.
J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3033-8.