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病気・医療

どんどん増えるのに、がんにならない腸の細胞がもつすごい仕組みとは?
公開日:2015年3月9日
更新日:2022年1月21日

腸の細胞ががんにならないしくみとは?(写真:Shutterstock.com)
どんどん増える細胞はがんになりやすい?
「がん」と聞くと、「どんどん増える」というイメージがあります。実際に細胞の生まれ変わりの中で調節が狂うとがんになってしまう可能性があり、増殖が激しい細胞はがんになりやすいといえます。しかし、体の中には、どんどん増えるにも関わらずそう簡単にはがんにならない細胞が存在しています。なぜなのでしょうか?
がんになるのを防いでいる物質を発見
腸の内側は、「腸上皮細胞」と呼ばれる細胞に内張りされています。この細胞は、生まれ変わりが早く、数日以内で新しい細胞に置き換わっています。米国の研究グループは、この腸上皮細胞ががんになるのを防ぐしくみを発見しました。
そのカギとなる物質の名は「TRPV1」。腸上皮細胞の外側には「EGFR」という増殖のスイッチがあり、このスイッチが入ると細胞は増殖します。このときTRPV1も一緒に増え、丁度良い頃合いで、増殖のスイッチを切る役割を果たしています。増殖と一緒にスイッチを切る物質も増えるので、細胞は異常に増える危険から守られていたのです(※)。
研究グループは、TRPV1はがんの治療薬の候補になる可能性があると指摘しています。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。