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大腸がんの発生や発達に関わる腸内細菌を発見?
私たちの健康に影響を与えている腸内細菌。最近では、がんになると腸内細菌が変化するとの報告があります。アメリカの研究グループは、大腸がんによる腸内細菌の変化を明らかにするため、同一人物の大腸がん組織と正常組織の腸内細菌を調査しました。
大腸がんの発生に関わる腸内細菌についてご存知ですか?(写真:Shutterstock.com)
腸内細菌と大腸がんとの関係は?
私たちの腸内には多くの種類の細菌がいます。腸内細菌の集まりは「腸内細菌叢(そう)」や「腸内フローラ」とよばれ、肥満やアレルギーに影響を与えることがわかってきました。
最近では、がんになると腸内細菌が変化することが報告されています。大腸がんの発症前後での腸内細菌の変化を明らかにすることは、大腸がんの早期発見につながるのではないかと期待されています。
同一人物のがん組織と正常組織の腸内細菌を比較
アメリカのミネソタ大学の研究グループは、44人の原発性大腸がんの人の大腸がん組織と正常な大腸組織から腸内細菌のDNAを採取し、特定の遺伝子配列の違いから腸内細菌の菌種を特定しました。
その結果、大腸がんの組織では、正常な大腸の組織に比べ、フソバクテリウムやプロビデンシアが多く検出されました(※)。フソバクテリウムは以前からがんとの関連が報告されていましたが、今回の研究で新たにプロビデンシアも大腸がんに関わることが示唆されました。
また、フソバクテリウムやプロビデンシアのゲノム配列の特徴なのか、大腸がん組織では、病原性に関わると思われる遺伝子が多く検出されたそうです。
本研究の結果から、フソバクテリウムやプロビデンシアは大腸がんの発生や発達に関わっていることが見えてきました。大腸がんの早期発見や除菌による治療効果の向上などへの貢献が期待されます。
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
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