- 心臓病
健康診断でよく見る“γGTP(ガンマGTP)”この値でわかる「肝心」な話とは?
「肝心」(かんじん)の語源は?
「肝心な事を忘れてた!」「諦めが肝心さ。」「最初が肝心!」私たちの日常会話でも時々登場する「肝心」。とりわけ重要な事を指すときに使いますよね。
ところで、そもそもどうして「肝心」と言うのでしょうか?
その言葉は中国から来たとか、江戸時代の医師が最初に言ったとか、諸説ありますが、意味の語源は体の臓器、「肝臓」と「心臓」です。同様に「肝腎」という文字も使いますが、この場合は「肝臓」と「腎臓」。いずれもダメになってしまったら取り返しのつかないほど人体にとって大事な臓器であることから極めて大切な物事を指すときに使われるようになりました。
まさに「肝心」な話
今日は「肝腎」ではなく「肝心」の方のお話です。どうも、肝臓が悪くなると心房細動のリスクが上がるらしいという報告が、2014年10月米国ミネソタ大学の研究グループにより発表されました。
研究グループは、以前に動脈硬化症の研究に参加していた、53歳~75歳の男女のうち、研究当時は心房細動がなかった約1万人について、その後12年間にわたり追跡調査を行いました。そして、血液検査の肝機能に関する値と、発作性の心房細動の発症との間に、関連性を見つけたのです(※)。
γGTPが上がると心房細動リスクも上がっていた
入院の履歴と死亡診断書を基に集計したところ、12年間で合計約1000件の発作性心房細動が起きていたことが分かりました。さらに、この心房細動と、血液検査のγGTPの値との間には互いに関連があることがわかりました。何と、γGTPが2倍になると、心房細動のリスクが20%も上昇していたのです。
血液検査でおなじみのγGTPは、肝機能の指標となる酵素の一つで、値が上昇すると肝機能が低下している可能性があると判断できます。つまり今回の結果は、肝臓が悪いと心臓も悪くなるリスクがあるという事を意味しているのです。
まだ、γGTPが上がるとなぜ心房細動リスクが上がるのかのメカニズムまでは解明されていませんが、肝臓が悪い人は心臓病のリスクも頭の片隅に置いて生活改善すると、ますます元気に長生きできるかもしれませんね!
まずはお酒を控えるところから、はじめてみてはいかがでしょうか?
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。