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3月の第2木曜日は世界腎臓デー、腎臓病予防のための8つのゴールデンルールとは?

「世界腎臓デー」とは
今年の3月12日は、世界腎臓デー(World Kidney Day)です。
世界腎臓デーは腎臓病の早期発見などを訴える取り組みとして、国際腎臓学会(ISN:International Society of Nephrology)と腎臓財団国際協会(IFKF:International Federation of Kidney Foundations)によって腎臓の重要性を再認識し、腎臓病になる人を減らそうという目的のため共同で提案されました。毎年3月の第2木曜日と定められ、世界各国で、ウォーキング、サイクリング、ランニングなどのイベントが開催されています。
腎臓について考えよう
腎臓は、心臓や脳などと比べると普段あまり意識されることが少ないのではないでしょうか。
腎臓は握りこぶし大の大きさの臓器で、手を後ろに回してわき腹と背骨の中間あたりの場所に一つずつあります。そして「毒素や老廃物を体から追い出す」、「体液のバランスを調整する」、「血圧の調整に働くホルモンの分泌」、「赤血球の産生と放出を促進するホルモンの分泌」などの私たちが生きていくうえで重要な役割を担っています。
早期発見が重要な腎臓病
慢性腎臓病は、生活習慣病やメタボリックシンドロームとの関連が深く、誰もがかかる可能性があります。日本国内の腎疾患患者は年々増加していて、国民の死因の第8位となっています。
気をつけたいのは、一部の例外を除き、一度失われた腎臓の機能は回復することがなく、慢性の腎不全となることです。そのため、早期発見が重要となります。少量の血液もしくは尿で検査できるので、健康診断などでチェックしてもらいましょう。
腎臓病の人の数は?
国内で腎臓病の人はどのくらいいるのでしょうか?
日本国内の慢性腎臓病の患者数は1330万人と推計されていて、20歳以上の8人に1人はいる計算になるそうです。また、17人に1人は治療が必要とされるほど病状が進行しており、433人に1人は、透析治療をしていると報告されています。
腎臓病を予防するための8つのルール
腎臓病にならないためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?適度な運動、食事の内容に気をつけ、高血圧や肥満にならないように心がけるのがポイントとされています。
以下のような8つのゴールデンルールが提唱されているので、参考にしてみてください(※)。
その1 適度な運動しましょう
腎臓病に限ったことではありませんが、健康的な生活は大切です。運動不足の人は、この機会に継続できる軽度のものでもよいので、続けられるものを探してみては。
その2 血糖値を測り、コントロールしましょう
その3 血圧を測り、コントロールしましょう
高血圧になると腎臓に負担をかけます。高いほうの血圧が140、低いほうの血圧が89より高い人は一度お医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。
その4 健康的な食事で、適正体重を維持しましょう
腎臓病につながる心臓病や糖尿病を防ぐことにもなります。塩分のとりすぎに注意してください。1日あたりの推奨の摂取量は5から6gだそうです。
その5 水分の補給を心がけましょう
これについては専門家によって意見が異なりますが、1日に1.5から2Lと推奨しています。
その6 禁煙しましょう
たばこは、腎臓だけでなく、さまざまな病気のリスク要因となります。喫煙により腎臓への血流が悪くなります。血液が十分でないと腎臓が正常に働きません。また、腎臓がんのリスクが50%増加するそうです。
その7 薬の飲み方には注意しましょう
イブプロフェンのような抗炎症作用をもつ薬の常用は、腎臓にダメージを与えることが知られています。薬は、医師や薬剤師の指示に従って飲むようにしてください。
その8 リスクの要因が多い人は特に注意しましょう
気になる方は病院で腎機能をチェックしてもらいましょう。
・糖尿病の人
・高血圧の人
・肥満の人
・ご両親や身近な親族の方で腎臓病を患っている人がいる方
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。
参考文献
※ World Kidney Day, Take Care of Your Kidneys「8 Golden Rules」©World Kidney Day 2006-2015