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病気・医療

クローン病を知っていますか?新たな関連遺伝子の発見で、原因解明へ一歩前進

公開日:2015年2月3日
更新日:2020年10月13日

 クローン病とは、原因不明の病気で、腹痛、下痢、発熱、肛門病変等の症状を引き起こします。今回新たな関連遺伝子が明らかになったことで、治療に向けた研究が一層進むことが期待されます。


原因不明のクローン病、関連遺伝子の発見で研究の進展が期待されます(写真:Shutterstock.com)

クローン病の原因遺伝子を探して

 ドイツの大学医療センターシュレスヴィヒホルシュタインの研究グループは、2015年クローン病に関わる遺伝子を発見したことを報告しました。

 クローン病は炎症性腸疾患に含まれる疾患で、消化管に原因不明の炎症ができる病気です。

 これまでにクローン病の発症に関わる遺伝的要因については、まだ部分的にしかわかっておらず、さらなる研究が待たれている段階でした。

 研究グループは、X連鎖リンパ増殖症候群という、クローン病のような腸炎を起こすことのある、先天性の免疫不全症候群の原因遺伝子であるXIAPが、クローン病にも関連しているのではないかという仮説をたて、その仮説を立証するための解析を行いました。

 クローン病を発症した人と健康な人、それぞれのXIAP遺伝子配列を解読し、比較解析することで、クローン病とXIAP遺伝子の関係について調べたのです。

仮説は正しかった

 その結果、男性において、XIAPという遺伝子の配列の違いがクローン病に関連していることがわかりました(※)。そして、子供の時にクローン病を発症した男性のうちの約4%の人は、この遺伝子配列の違いが原因による発症だと推測されました。

 原因遺伝子が明らかにされたことで、今まで原因不明だと考えられてきたクローン病の治療に光が差したといえるかもしれません。今後の研究が待たれます。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Zeissig Y, XIAP variants in male Crohn's disease., Gut.


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