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C型肝炎ウイルスに感染すると、骨折のリスクが高くなるの?

現在日本では約150万〜200万人がC型肝炎ウイルスに感染していると考えられています。C型肝炎ウイルスは感染者の主に血液を介して感染し、ウイルスを保有していると、慢性肝炎から肝硬変、肝がんになる可能性があります。
デンマークのコペンハーゲン大学病院の研究グループは、C型肝炎ウイルスに感染していた人の骨折リスクが一般の人より高くなることを報告しました。
骨折のリスクは約2倍に
これまでにC型肝炎ウイルスと骨密度低下との関連は指摘されていましたが、C型肝炎ウイルスの感染と骨折のリスクとの関連についてはよくわかっていませんでした。研究グループは、C型肝炎ウイルスに感染した人と一般の人について、初めて骨折するまでの時間と骨折時に受けた衝撃を比べることで、C型肝炎ウイルスの感染と骨折との関係を調べました。
その結果、C型肝炎ウイルスに感染した人は、強い衝撃に対してだけでなく、転倒など比較的弱い力によっても骨が折れやすいことがわかりました(※)。これらの骨折のリスクは、共に約2倍高くなっていました。
一方で、研究では慢性的なC型肝炎ウイルス感染の人と、過去にC型肝炎ウイルスに感染していたが治療により感染除去された人を比較し、骨折リスクにはそれほど変化がないことがわかりました。そのことから、C型肝炎ウイルスの骨折リスク増加の原因は、ウイルスそのものではなく、C型肝炎ウイルスに感染したことによる生活の変化の要素が大きいのではないかと考えられたのです。
今回の研究では、C型肝炎ウイルスの感染と骨折という意外な関係が明らかにされました。その因果関係が気になるところです。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。