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病気・医療

【医師によるコラム】銀杏の食べ過ぎにご注意を!食中毒の原因になるのはなぜ?

2015年12月07日 09時00分

 医師による特別コラム、第8弾です!「銀杏は年の数以上食べてはいけない」という言い伝えが残っているように銀杏を食べ過ぎると中毒症状を示すことがあるようです。日本の研究グループにより明らかにされた中毒症状の原因とは。


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写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。(写真:Hibaby/クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)

 特別企画、北品川藤クリニックの石原藤樹先生によるスペシャルコラムをお届けします!
今回は「銀杏」について書いていただきました。
 これまでの石原先生の記事を読んでいない人はこちらからどうぞ!
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 ・牛乳は健康に悪いのか?
 ・卵は健康の敵か、それとも…

銀杏の食べ過ぎに注意!「銀杏は年の数以上食べてはいけない」という言い伝えも

 こんにちは。北品川藤クリニックの石原です。

 銀杏がイチョウの樹から落ちる季節になりました。お好きな方も多いと思いますが、銀杏は食べ過ぎると中毒になるという、怖い食品でもあることを、忘れてはいけません。

 イチョウの実である銀杏を炒って食べるのは、日本人の昔からの習慣ですが、中毒のあることも昔から知られていて、節分の時に年の数だけの豆を食べるのは、「年の数以上は食べてはいけない」という裏の意味合いがあり、「銀杏は年の数以上食べてはいけない」という言い伝えが残っているようです。

 文献的にも1881年に既にお子さんの死亡事例の報告があり、「銀杏実は多量の青酸を含有するものか」という表題になっています。

 銀杏の食用による死亡の事例は、第二次大戦の前後に多く報告され、1960年代以降は減少していますが、最近でも症例報告は時々あり、2010年には成人女性が60個の銀杏を食べ、吐き気やおう吐などの中毒症状を認めています。

 また、お子さんにおいては、けいれんを示す事例が多く報告されています。全ての中毒患者さんの8割以上がお子さんで、特に3歳未満が多いと報告されています。概ねお子さんで7個以上、大人では40個以上の摂取により、摂取後6時間以内に発症することが多いとされていますから、「年の数以上は…」という昔の知恵は、かなり正確なものであったことが分かります。

銀杏中毒の原因はビタミンB6の吸収阻害?

 何故銀杏で中毒が起こるのでしょうか?その原因を解明したのは、日本の和田啓爾先生のグループで、1985年に日本薬学会の発行する英文の医学誌に発表されています。

 イチョウの実の成分の中には、MPN(4'-methoxypyridoxine)という物質が含まれていますが、このMPNはビタミンB6に構造が似ていて、ビタミンB6に拮抗します。脳において興奮性の伝達物質であるグルタミン酸は、ビタミンB6の働きの助けを借りて、抑制性の伝達物質であるGABAに変換されますが、これをMPNが阻害するので、結果として脳内にグルタミン酸が過剰になり、けいれんなどの脳の興奮症状を引き起こす、と考えられています。

 この毒性は、身体にビタミンB6が不足しているほど強く働くので、同じ量の銀杏を摂取していても、栄養状態が悪ければ、中毒が起り易くなります。第二次大戦前後の中毒の増加は、その栄養状態と関わりが深い、と考えられています。

 治療は全身管理と対処療法が主体となりますが、けいれんに対しては、ビタミンB6の活性を持つ、PLPという物質の注射が有効とされています。

 ご存じの方も多いかとは思いますが、銀杏の食べ過ぎには、くれぐれもご注意下さい。また、10歳以下のお子さんに、銀杏を食べさせてはいけません。

参考文献
An antivitamin B6, 4'-methoxypyridoxine, from the seed of Ginkgo biloba L.

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