病気・医療

働き盛りに多い慢性腰痛!その原因に迫る

2020年11月12日 09時00分

腰痛を我慢していませんか?(写真:Shutterstock.com)

 今日も仕事でクタクタ、身体もあちこち痛いよと嘆く日々。そんな方も多いのではないでしょうか。身体に感じる痛みをどれくらいの人が抱えているのか。厚労省の調査では、何らかの痛みを抱えている人は人口の約20%と言われています。その中で最も訴えが多いのは腰、その次に首こりや肩こり。いずれにしても脊椎(首や背中の中心を通る身体の支柱となる骨)由来の症状が多いようです。

 今回は、皆さんの痛みの悩みNo.1である腰痛について紐解いていきましょう。説明してくださったのは、北里大学北里研究所病院・整形外科部長の日方智宏先生です。

日方智宏(ひかた・ともひろ)先生

 北里大学北里研究所病院整形外科部長、脊椎センターセンター長、北里大学医学部整形外科准教授。2000年に慶應義塾大学医学部を卒業。2009年に慶應義塾大学医学部博士課程修了。脊椎、脊髄外科を専門とし、患者と共に負担の少ない治療を進めていくことを心がけている。

なぜ腰なのか、痛くなる構造的な理由

 定説とまでは言えませんが、人間は4足歩行から2足歩行になる時に、上半身を支える上で、脊椎が直線からS字状にカーブをつくることでバランスを取れるようになりました。そうするとどうしても腰に上半身の重さが全てかかってしまいます。また、腰は動きの中心としての役割もあるため一番ストレスがかかる場所であると言えます。これが、腰が痛くなる理由ではないでしょうか。

 人間が生活する上で脊柱の配列はとても重要。脊柱の一番良い形は、前弯と後弯で正しいS字カーブを描いていることです。

【腰痛が起こる原因は何なのか?】

 実は、腰痛の原因は整形外科の分野だけでもたくさんあり、他の分野も合わせると多岐に渡ります。整形外科で対応する腰痛の例は、以下の表を参考にしてください。

 他の分野での原因としては、婦人科の子宮内膜症や、腰がすごく痛くてぎっくり腰だと思って病院に来たら実は尿路結石だったというパターンもあります。命に関わる腰痛としては、解離性大動脈瘤などの血管性の病気のこともあります。

【どの科を受診したらよいのか、判断する基準はある?】

 実は原因がハッキリとわからない腰痛は多く、ちゃんと診断がつくのは全体の15%ほど。残りの85%は原因がわからない「非特異性腰痛」です。

 基本的には、腰痛を感じたらまずは整形外科を受診するのが良いでしょう。自分的には、この腰の痛みは整形外科ではないかもしれないと疑っても、まずは受診を。診察をした上で医師が原因を予想し、どの科を受診したら良いのかご案内することができます。

【痛みの出方によって、予測できる原因が違う?】

 痛みの出方が特徴的な場合には、ある程度の原因を予想することができます。例えば、安静にして横になっている時にも痛い場合は脊髄の腫瘍の可能性が。また、腰痛と共に足の方まで痛みが電撃のように広がる場合は、坐骨神経痛などの神経の圧迫による痛みです。さらに、寝た状態から起き上がった時などの身体を動かした時に痛い場合には、脊椎の骨折や細菌感染、癌の骨転移の可能性もあります。

 あとは、痛みが出たエピソードからも予想できます。例えば、尻もちをついたというエピソードがあれば骨折しているかもしれないと考えられるし、食事が摂れていなくて免疫が落ちていそうな場合は何かの感染症による痛みの可能性もあります。

急性腰痛から慢性腰痛へ

 急性腰痛とは痛みが出てから4週間以内の急性のもの。だいたいの痛みはそれくらいで落ち着いてしまいます。そして、その痛みが落ち着かずに3ヵ月とか長く続いてしまうのを慢性腰痛と言います。基本的には、痛みが継続する期間によって呼び方を変えているだけなのです。

 治療方法の差としては、急性腰痛では投薬治療がメインで内服薬やブロック注射を使って炎症を抑えるようにします。だんだんと痛みが慢性化してきた場合、運動療法(リハビリ)を積極的に取り入れた治療にシフトしていく方が良いでしょう。腰痛診療ガイドライン上でも、運動療法は慢性腰痛にとても効果があると勧められています。

【腰に負担がかかりやすい姿勢や動き方は?】

 整形外科医が腰痛患者さんに避けてほしいとアドバイスすることが多いのは、中腰での作業です。中腰で重いものを持ち上げたり、中腰で掃除機をかけたり、中腰で草むしりをするなど、腰を中途半端に曲げた状態で過ごすことは腰への負担が大。これを繰り返すことで、慢性腰痛が長引く人も多いと言えます。

【例えば、腰のヘルニアの人が前屈すると?】

 腰のヘルニアで悩んでいる人は多い印象ですが、前屈姿勢は椎間板にたくさんの圧がかかるため、それが刺激になって痛みが出てしまいます。座っている方が腰にとっては楽だと思われがちですが、実は、立っている時よりも座っている時の方が椎間板への圧が高いと言われています。デスクワーカー、キャビンアテンダント、長距離ドライバーなどの同じ姿勢が多い職業や、中腰作業と力仕事の多い看護師や介護士に多い印象です。

 飛行機での同じ姿勢での移動や、長時間のデスクワークなどは腰への負担が大きくなります。ですので、1時間に1回くらいは立ったり歩いたりして腰を伸ばすと良いでしょう。また、無理のない程度にゆっくりと腰を伸ばすようなストレッチをすることもオススメです。

自己判断の、やせ我慢は損!

 1週間くらいで治ってしまうような腰痛もありますが、痛みを我慢していても何も良いことはありません。快適な日常生活を過ごすためにも、思い切って医師に相談を。検査だけに頼らず、痛みの性質、あなたのバックグラウンド、痛みが出たエピソードなどを相談することで、適切なアドバイスをもらいましょう。


著者
緒方りえ
プロフィール:1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

記事提供元
MYCODEの運営会社・株式会社DeNAライフサイエンスのグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社が提供する、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」掲載記事より「働き盛りに多い慢性腰痛!その原因に迫る」を一部改編。
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