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去年話題の「デング熱」、 新たなワクチンがついに開発?

代々木公園での騒動が記憶に新しいですね。
有名になったデング熱、なんと世界では4億人が感染
デング熱は蚊が媒介するウイルス病で、ほとんどの感染者は高熱、紅斑、ひどい頭痛が1〜2週間続きます。日本でも昨年に国内感染が連日発生し、代々木公園が封鎖されるなどの事態となったことが記憶に新しいのではないでしょうか。
感染者は世界中で年間4億人に上ると推定され、これまでも有力なワクチンが求められていました。
ワクチン開発に期待される候補を検討
そんな中、デングウイルスへの抵抗力を発揮するワクチンのもととなる「抗体」が発見されたとして、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンを中心とする研究グループが、2014年12月15日に、ネイチャー・イムノロジー誌オンライン版で研究成果を報告しました。
研究グループは、デング熱のウイルスに対するワクチン開発のため、デング熱のウイルスに感染したヒトの血液中に存在する「抗体」が、デングウイルスのもつタンパク質のどの部分に反応しているかを分析し、ワクチンの標的候補を絞り込むことに成功しました。
ウィルスを包む「膜」を標的にした新しい抗体
その結果として、デングウイルスの外被、つまりはウィルスを包む膜の部分を構成するタンパク質の「外被ダイマーエピトープ」と呼ばれる、これまで知られていなかった標的候補が特定されました。
そしてこの標的を攻撃する抗体には、デングウイルスに対して幅広く効果があることも示されました。昆虫細胞とヒトの培養細胞で実験したところ、ごく少量の抗体によって、デングウイルスの生成を完全に阻止できたのです。
世界にはデングウィルスに対するワクチンの開発を待っている人がたくさんいます。今後のデングウイルスに対するワクチン開発への貢献を期待したいですね。
参考文献
Dejnirattisai W et al. A new class of highly potent, broadly neutralizing antibodies isolated from viremic patients infected with dengue virus.
Nat Immunol. 2015 Feb;16(2):170-7. doi: 10.1038/ni.3058.