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遺伝子

シロクマがメタボだって!?
いいえ、体脂肪率50%でも超健康体なのです!

2015年04月10日 09時00分

 シロクマの体脂肪率は50%だって知っていましたか?彼らは北極の厳しい気候に耐え抜くため、脂肪分の多い食事を食べて、エネルギーとしているのです。そんなシロクマは悪玉コレステロールの遺伝子が特別に進化しているらしい!?


Polar bear

画像はイメージです。記事と直接の関係はありません。(写真:Teresa/クリエイティブ・コモンズ 表示 2.0 一般)

 北極に住むクマ、ホッキョクグマ、通称シロクマ。北極という過酷な環境に耐え抜くために、どのように進化したのでしょうか?茶色いクマたちとの違いは?

シロクマの住む厳しい環境

 シロクマ(ホッキョクグマ)は北極圏を中心に、アメリカ大陸やユーラシア大陸の北部に住んでいます。北極圏の平均気温は氷点下25度くらいといわれ、冬は氷点下40度くらいまで下がると言われています。北極に住む動物たちは厳しい気候に耐え抜く強さを持っているのです。

体脂肪率50%の体でも健康!

 シロクマが主にエサとして食べるアザラシなどの海の哺乳動物たちは脂肪が多く、彼らはこの脂肪分の多いエサをうまく消化し、エネルギーとして使っています。シロクマの赤ちゃんもお母さんから乳脂肪分が30%近く含まれたミルクをもらっています。
 彼らの体内の脂肪はとても多く、なんと50%以上もあると言われています。体脂肪率50%なんて、人間だったら超メタボですよね!彼らは北極の過酷な環境に耐えるため、そして脂肪分の多い食事を上手にエネルギーとするために特別な進化をとげたと考えられます。

シロクマへの進化とともに身に付けた能力とは

 研究チームはこのシロクマと、彼らに近いとされるヒグマをはじめとした茶色いクマのゲノムDNA配列を集めて比較しました。そして、シロクマは48万年まえから34万年前に分岐してきたということを明らかにしたのです。
 彼らは茶色いクマからシロクマへと進化していく過程において、「自然選択」と呼ばれる現象によって優先的に選ばれた遺伝子について調べました。この自然選択を調べることによって、彼らが生き残るためにどのように進化してきたのかが分かると考えたのです。

悪玉コレステロールの遺伝子が進化

 中でも特に自然選択を受けていた16個の遺伝子のうち9個は心臓や血管の病気に関連するものでした。最も強い傾向を示した遺伝子はAPOBと呼ばれ、なんと主に悪玉コレステロールの本体を作る遺伝子だったのです。特にAPOB遺伝子の脂質の輸送に関わる領域の構造が異なっていました。そのため、研究グループは、脂肪分を多く含むエサを食べるシロクマが血中のコレステロールを効率的に除去できるように進化したのではないかと考えています。
 シロクマではこのような遺伝子が特別に進化することで、人間ならば動脈硬化や心筋梗塞になりそうなほどにメタボだったにも関わらず、元気なのかもしれません。

 私たち人間も、これまでに多くの進化を遂げ、そして私たちの遺伝子は多くの自然選択を受けてきたことでしょう。そう考えると、ひとりひとりが持っている遺伝子という名の生命の設計図は、長い長い時間をかけて作られてきた、とても大切な宝物であると感じます。
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参考文献

Liu S et al. Population genomics reveal recent speciation and rapid evolutionary adaptation in polar bears.
Cell. 2014 May 8;157(4):785-94. doi: 10.1016/j.cell.2014.03.054.

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