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激辛好きな人はアルコール依存症に要注意?
辛味ってどんな味?
私たちは辛味をどのように、感じているのでしょうか?生物学的に味覚というときは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味成分を味蕾(舌で味を感知する器官)で受容し、味覚神経に刺激として伝えます。それに対して辛味は、痛さとして感覚神経に伝えられます。なかでも唐辛子に含まれるカプサイシンは神経が興奮し、焼けるような痛み(灼熱痛)を引き起こします。このカプサイシンによる痛みは、口腔内だけで起こるのではなく気管支や消化管(食道や胃など)全体で起こります。そのため、辛いものを食べ過ぎると腹痛や下痢の原因となります。
また、カプサイシンが消化管から吸収され血中に入ると、感覚神経から中枢神経系を介して、副腎から興奮時の神経伝達物質であるアドレナリンの分泌を促進することもわかっています。そして同様に、アルコールを摂取した際にもドーパミン経路が過剰な活性化を起こすことが知られています。同じような現象を体内で引き起こすカプサイシンとアルコール。この2つには何か特別な関係があるのでしょうか?
辛い食べ物とアルコール依存症との関係
2017年10月、韓国釜山国立大学梁山病院の研究グループは、食べ物の好みとアルコール依存症の関連について報告しました(※)。研究チームは、150人のアルコール依存症患者と50歳以上で現在の飲酒傾向からアルコール依存症になる可能性の低い100人を対象として調査を実施し、食の好みと飲酒との関係性について検証しました。
被験者には、甘いもの、酸っぱいもの、しょっぱいもの、苦いもの、辛いもので調理された食品画像を3種類ずつランダムに見てもらい、1から10のスケールで嫌いから好きの度合いを選んでもらいました。その結果、アルコール依存症の人は、そうでない人よりも辛い食べ物を好むということが分かりました。
辛いものを好む程度によっては、アルコール依存に影響するようです。こちらは、あくまでもアルコール依存症の一要因ということですが、お食事とお酒のバランスを考えてみるのも良いですね。
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監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。