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たばこ病の人に禁煙を勧めるとき、注意したいこととは?

公開日:2015年1月20日
更新日:2021年6月17日

禁煙のアドバイス、言われなくてもわかってるよと思われないためには?(写真:Shutterstock.com)

たばこ病とも呼ばれる「COPD」

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を知っていますか?COPDは、以前は慢性気管支炎や肺気腫などと呼ばれていた病態を、主に喫煙による肺の変化として、まとめて付けた病名です。いわゆる「たばこ病」で、主にたばこが原因で、肺や気管支が炎症を起こしてしまう病気です。COPDは、正しく呼吸ができず、せきやたん、息切れなどがおこる、苦しい病気です。

 残念なことに、一度発症すると元の健康な肺には戻れない、不治の病です。なので、治療は病気の進行を防ぐことと、症状を和らげ生活の質(QOL)を上げるためにおこないます。

COPDの日本人はどれくらいいるの?

 これまでの調査によると、なんと日本人の40歳以上の10人に1人、75歳以上の5人に1人にCOPDの疑いがあるとわかっています。中年以上に特に多いようです。

 そこまで知名度のある病気ではありませんが、COPDで亡くなる人は、日本では毎年2万人近くもいる病気なのです。

COPDの人へのアドバイスは逆効果・・・?

 そんな恐ろしいCOPDにならないために最も効果的なのは「禁煙」です。そんな苦しい病気にならないために、身の回りの大切な人たちに、今すぐにでも「禁煙」をお勧めしたいところです。

 ところが、禁煙のアドバイスを受けることで、かえって逆効果になってしまう人がいるということが、ノルウェーの研究グループによる医療アンケート調査と分析により明らかとなりました。

 調査は、呼吸の専門医療施設でCOPDの治療を受けている男性13人、女性5人を対象におこなわれました。その結果、COPDの人たちは、COPDに関して「社会から偏見を受けている」という気持ちが強く、屈辱感をもっており、禁煙に真正面から向き合おうという気持ちになれない、ということがわかりました。また、「自分を責める気持ち」も強く、それだけに病気のことを他人から指摘されることに過敏になりがちだったそうです。

 研究グループは、本人を尊重しながら、心理的、社会的なサポートと禁煙アドバイスを同時に行うことが大切であると考えています。

 決めつけや否定的な言葉を使わず、気持ちに寄り添っていくことが大切なのかもしれないですね。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Halding AG, Experiences of self-blame and stigmatisation for self-infliction among individuals living with COPD., Scand J Caring Sci.


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