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運動は面倒、なんて言ってられない!?体力がある人と、高血圧リスクの関係
ランニングマシンを使った大規模な試験
米国ジョンズ・ホプキンス大学心臓病予防センターを含む研究グループは、運動が健康に及ぼす影響についての研究成果を報告しました。
彼らは、1991年から2009年に行われた参加者約5万7000人(平均年齢53歳、女性49%)の大規模な試験において、「トレッドミル試験」と呼ばれるランニングマシンを使った体力測定結果と血圧との関係について調べたのです。
研究グループは酸素の取り込み量を「METs」と呼ばれる単位で測定しました。この体力測定時に、どのくらいの運動強度に達したかをMETsで表すことで、体力の指標としました。
体力のある人は高血圧の予防効果あり
結果、このMETsが高いほど、つまり体力がある人ほど、高血圧のリスクが低いという関係性が示されました(※)。
被験者の運動強度の平均は9.2METsで、12METs以上の体力がある人は、6METs未満の体力がない人よりも、高血圧である割合が30%近く低いことがわかりました。
そしてその後、約5年間の追跡調査を行い、約8000人が新たに高血圧と診断されましたが、METs値が高い人ほど5年間の累積の発症率が低かったそうです。
体力がある人はそもそも健康的な体や、健康的な生活をしているからじゃないの?と思うかもしれませんが、研究グループは、肥満や喫煙など、それぞれの人がもつ高血圧のリスクを加味して分析しなおしたとしてもなお、12METs以上の人は6METs未満の人より20%もリスクが低いと報告しています。
体力がないと健康には良くないだろうとは思っていたけれど、ここまではっきり示されてしまうのは驚きですね。体力をつけるためには、継続的な運動が欠かせません。運動は嫌い、動きたくない!という方も、まずは軽くウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。