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実はあなたも?多くの日本人がやっているNGな座り姿勢

公開日:2021年6月10日

知らず知らずのうちにNGな座り方していませんか?(写真:Shutterstock.com)

 オフィスワーカーの多くが悩まされている肩こりや腰痛。

 マッサージや定期的な運動を心がけていても取れない頑固な痛みは、日頃の「座り方」の見直しが必要かもしれません。

 今回の記事では、早稲田大学スポーツ科学博士の荒木さんに、骨格を意識した「正しい座り方」を教えていただきました。

荒木 邦子(あらき・くにこ)先生
 スポーツ科学博士(早稲田大学)、早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師、ウエルネス操体法インストラクター、介護予防主任運動指導員。所属学会は、日本公衆衛生学会、体力医学会、応用老年学会、日本スポーツ産業学会。健康づくり・介護予防のプログラム開発と指導、人材育成。特に地域の課題把握・地域特性に応じた自治体介護予防プログラム開発と普及マネジメント支援、自治体との協働による地域活性化に従事。トレーニング動画配信サービス「welistTV」(株式会社早稲田エルダリーヘルス事業団)も監修。

なぜ間違った座り方はよくないの?

(画像:Shutterstock.com)

 人間の背骨は、頸椎(首の骨)7本、胸椎(胸の骨)12本、腰椎(腰の骨)5本、合計24本からなる小さな骨がS字のカーブを描きながら積み重なることで成り立っています。

 実は、このS字カーブの体制がもっとも身体への影響が少ない姿勢。立っていても座っていてもこの姿勢を維持することで肩こりや腰痛も起きにくくなります。

 しかし、パソコンと顔が近すぎる姿勢や猫背、足を組むなど、本来の骨格の設計図通りに身体を使わないことで負担が大きくなり、徐々に慢性的な肩こりや腰痛に移行しやすくなります。

あなたもやってる?NGな座り姿勢

 これを読んでいる皆さんは、今どんな座り方をしていますか?

 オフィスのいたる場所で見かける「NG座り姿勢」の事例をご紹介します。「私は大丈夫!」と思っていても、間違った姿勢に思い当たる人も多いかもしれません。

 どのような座り姿勢が身体に負担をかけているのかを具体的に見ていきましょう。

背中をぺったり付けて座る「背中座り」

(画像:Shutterstock.com)

 腰(骨盤)を後ろに倒し、丸くなった背骨を椅子の背板に付け座る「背中座り」。
腰から上を大きく丸めることで首が前に出てしまい、ボウリングボールほどの重さがある頭を首から上だけで支えるため、頸椎・肩に想像以上の負担がかかる座り姿勢です。

 背中座りは、座ってすぐの間は楽に感じやすい姿勢のためオフィス内のいたるところで見られますが、身体への負担だけではなく、見た目もだらけていてあまり良い印象とは言えないので、見直したい座り方の代表例といえそうです。

あれ?いつの間に!左右にズレる「ボディースリップ座り」

 モニター画面が複数あるオフィスワーカーによく見られる「ボディースリップ座り」。モニターを見るために首や腰上だけを不自然に曲げたり、元に戻さずそのままの姿勢でいたりすることで、腰から上が左右のどちらかにずれている座り方を指します。

 横から見る分には特に違和感はありませんが、後ろから見ると背骨が歪んでいることが特徴です。無理な体勢で重心をとることで、腰痛や肩こりを引き起こしやすい座り姿勢です。

身体だけではなく顔も歪む!?「頬杖座り」

(写真:Shutterstock.com)

 先述したように、実は頭の重さはボウリングのボールほどにもなります。

 正しい姿勢でも重く感じやすい頭を支えるために、頬杖をつき頭・顔を支えて座る人も多いです。重い頭を手で支えることは合理的なようにも思いますが、骨格を正しい位置で使いこなせていないため、やはり身体に負担のかかるNG姿勢!

 また、片方から顎周りに力を加えることで顔もズレてしまいますよ。

正しい姿勢のコツは「○○の位置」と「姿勢の○○」!

 このような身体に負担のかかるNG姿勢ですが、「絶対にしてはいけない!」というものではありません。

 なるべく長い時間を正しい座り姿勢で過ごせることが一番ですが、姿勢ばかりに意識が向いて仕事に集中できなくなっては困りますよね。これからご紹介する正しい姿勢を維持するコツを参考に、姿勢を意識する習慣をつけましょう。

正しい姿勢の要!「骨盤の位置」を意識して

(画像:Shutterstock.com)

 座る・立つを問わず、どんな姿勢でも要となるのは「骨盤(腰)」。

 椅子に座る時、腰・肩・首とパーツごとに細かく考えずに、まずは「骨盤を立たせる」ことを意識してみましょう。左右の座骨(座ったときに座面に当たるお尻の骨)がしっかり座面についていれば骨盤が立っている状態です。

 骨盤を立たせると、腰椎から頸椎までの背骨もきちんと正しい骨格の位置にくるため、自然と身体に負担のかかりにくい「正しい姿勢」に近付くことができますよ。

姿勢が悪くてもOK。大切なことは定期的な「姿勢のリセット」

 正しい姿勢は、それをキープするだけでも体力・筋力が必要です。そのため、仕事に集中している時ほど座り姿勢が崩れてしまうことは仕方がないとも言えます。

 そこでデスクワークで正しい姿勢を意識しつつ、仕事を効率的に進めるのにおすすめなのが「姿勢のリセット」。

 長時間座ったままで過ごさず、30分~1時間に1回程度席を立ち、3~4分歩いたり軽く身体を伸ばすなど軽く動いてから正しい姿勢で座りなおしましょう。血流がグンと促進されることで全身に血が巡り、仕事の能率もアップします!

※30分座り姿勢の場合、1分程度/1時間座り姿勢の場合、3~4分程度の運動を意識

「骨盤」と「立ってリセット」で疲れ知らずに!

 「マッサージや運動をしているはずなのになかなか痛みが取れない・・・」、そんな慢性的な肩こりや腰痛は、日頃の「座り姿勢」が原因であることも少なくありません。

 「正しい姿勢」「正しい座り方」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは「骨盤を立たせること」、そして「小まめに立つ・歩くこと」がポイントです。

 「悪い姿勢をとってもいいから、都度リセットする!」という心構えで、日常に取り入れていきましょう。


著者

春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)
プロフィール:フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

記事提供元

MYCODEの運営会社・株式会社DeNAライフサイエンスのグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社が提供する、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」掲載記事より「実はあなたも?多くの日本人がやっているNGな座り姿勢」を一部改編。
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