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「ダイエットやめたの?」おいしそうなものについつい手が伸びる意外な理由とは

おいしそうなものを見ると誘惑に負けるのはなぜ?
健康のためには、食事はとても大切ですよね。ところが、食べ過ぎないように気を付けよう、ダイエットしよう、と考えていても、おいしそうなものを見ると誘惑に負けてしまって・・・という経験はありませんか?一体どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。
米国の研究グループは、人間の思考回路のスピードを測定し、食事を選ぶ際のセルフコントロールに失敗してしまうメカニズムについて報告しました。
思考回路のスピードに原因が?
研究グループによれば、どのような食事を食べるかを考える時の思考回路は、「おいしそうか」と考える本能的な思考回路と、「健康によさそうか」と考える理論的な思考回路にはっきりと分かれるそうです。そして、食べ物の選択にはこれらの2種類の思考回路のスピードの差が影響を与えているのではないかと考えたのです。
研究グループは、2つのモニターに異なる食べ物をランダムに映し出し、コンピューターのマウスの動きを追うという方法を使って、食べ物を見たときの思考回路と選択行動について調べました。本研究のために、1000分の1秒(ミリ秒)レベルまで測定できるシステムを作ったそうです。
28名の男女に協力してもらい実験を行った結果、食べ物を「おいしそうか」で判断する方が、「健康によいか」の判断よりも約195ミリ秒反応が速いことがわかったのです(※)。
意思の強さ!?個人差の仕組みはスピードの違い
いつも誘惑に負けてしまう人とそうでない人っていますよね。研究グループによれば、判断の個人差の1割から4割くらいは、その思考回路のスピードの違いによって説明できるそうです。
「おいしそう」がいつも一歩手前にいたとは・・・。グルメ情報があふれている日常では、ダイエットや健康を気にして食事をするのがいかに大変かわかりますね!
時には欲求と戦って、遅れてきた決断を引き出す必要がありそうです。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。