• 肥満
  • 食事
  • 遺伝子
  • 関連遺伝子研究
食事・生活

食べ過ぎにも遺伝的要因!?人と豚で共通の「食べ過ぎ遺伝子」を発見

公開日:2014年12月31日
更新日:2021年11月17日

人も豚も、食べ過ぎてしまうのには訳があった?(写真:Shutterstock.com)

食べ過ぎ豚は困りもの?

 豚の飼育で「エサの費用」がどのくらいかかっているか、皆さんご存知でしょうか?

 農林水産省の肥育豚生産費調査によると、豚の飼育に必要な費用のうち約6~7割(1頭あたり約2万円)がエサの費用であると報告されています。500頭を飼育すれば、エサ代だけで1000万円かかる計算になります。

 そのため農家の方にとって、豚のエサにかかる費用は大きな問題で、ましてや食べ過ぎの豚、中でも「やせの大食い」タイプの豚は長年悩みの種となっていました。

食べ過ぎの原因を遺伝子に発見

 デンマークの研究グループは、食べ過ぎの原因を調べるため、豚の食事行動に影響を与える遺伝子を探索しました。研究グループは、4年間にわたり1130頭の豚の生活の様子をビデオで撮影し、食事量、食事にかける時間、1回あたりに食べる量等を徹底的に観察しました。

 そして、それら食事に関する行動と遺伝子との関係を調べ、食事にかける時間や回数といった豚の食事行動に影響を与えている遺伝子を見つけだしました(※)。

豚の食べ過ぎ遺伝子が人にもあった?

 そして、研究グループが、豚と人の遺伝子を比較したところ、発見した豚の過食行動に影響を与える遺伝子の一部を人の遺伝子の中に発見したのです。これらの遺伝子は、人の肥満やメタボリックシンドロームを招く恐れがある過食遺伝子である可能性が高く、今後の研究が大いに期待されます。

 豚の遺伝子研究で人の過食遺伝子の候補が見つかるとは、驚きですね。遺伝的な食事傾向の情報が、肥満対策にも生かせる日がやってくるかもしれません。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Do DN, Genome-wide association study reveals genetic architecture of eating behavior in pigs and its implications for humans obesity by comparative mapping., PLoS One.