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体質・身体

汗をかくことの大切さとは?無汗症の研究から見えてきた発汗と遺伝子の関わり

公開日:2015年4月16日
更新日:2022年4月19日

ベタついたり臭くなると嫌がられがちな汗、汗をかくことの大切さとは(写真:Shutterstock.com)

汗をかく理由

 汗をかきやすい人と、かきにくい人がいますよね。汗っかきの人は、匂いや脇汗が気になって嫌だと思われているかもしれませんが、私たちが汗をかくのには理由があり、汗をかくことにより体温を一定に保っています。汗をかくことができないと熱中症やめまいを起こしやすく、重症化すると意識障害を起こすこともあります。しかし、汗腺の形成不全や交感神経の異常などが原因で汗をかくことができない「無汗症」という病気の人がいることが知られていました。

 日本とスウェーデンの研究グループは、無汗症の人を調べることで発汗に関わる遺伝子を発見したと報告しました。

遺伝子が原因で引き起こされる珍しい無汗症

 研究グループは、パキスタンで生まれながらにして汗をかくことができない家系を発見し、原因となる遺伝子の解明を目指して研究を始めました。

 その症状を診断したところ、この無汗症の人たちは、汗腺の形成不全や交感神経に異常がないにもかかわらず、32℃の環境におかれても汗を全くかかず、高温多湿の環境では、皮膚温度が高くなり、心拍も異常に上昇することがわかりました。また、家族全員が無汗症ではないことから、父親と母親の両方から原因とされる遺伝子を受け継がないと無汗症にならないと考えられました。

一つの遺伝子の配列に変異が見つかった

 そこで、無汗症の原因となっている遺伝子を探したところ、無汗症の人の「ある一つの遺伝子の配列」に変異が生じていることがわかりました(※)。この遺伝子の配列の違いだけで、汗の量が本当に変わるのかをマウスで調べたところ、この遺伝子の機能を欠損したマウスでは、通常のマウスより汗の分泌量がおよそ1/6に減ることがわかりました。

 今回の研究で、たった一つの遺伝子が正常に働かなくなるだけで、汗をかかなくなる無汗症があることがわかりました。研究グループは、これまで原因不明だった無汗症の人にも、この遺伝子が関わっている可能性があると指摘しています。この遺伝子の発見が突破口となり、発汗の仕組みが明らかにされ、無汗症の治療に生かされる日が来るのが期待されます。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Klar J, Abolished InsP3R2 function inhibits sweat secretion in both humans and mice., J Clin Invest.


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