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痩せている人と肥満の人では腸内の細菌が違う?!

公開日:2018年10月17日
更新日:2019年5月17日

腸内にはたくさんの細菌がいるってご存知ですか?(写真:Shutterstock.com)

ご存知ですか?腸内細菌叢

 私たちの体内・体表にはたくさんの微生物・細菌が存在しています。しかし、人はお母さんのお腹の中にいるときは、無菌の状態で過ごしています。では、どこから腸内細菌叢(腸内フローラ)を得るのでしょうか。自然分娩の場合、赤ちゃんの生後2、3日に排泄される胎便の細菌叢は母親の出産前の膣内細菌叢と類似するのに対し、帝王切開での出産の場合、母親の皮膚常在菌叢と類似することがわかっています(※1)。離乳食を食べるようになるとその細菌叢は変化し、成人型の菌種に移行していきます。

 人の腸内にはたくさんの細菌が存在しており、その数は約100兆個あるといわれています。腸内の細菌の種類や数は食生活や環境によって異なるため、人によってさまざまな腸内細菌叢をもっています。

痩せている人と肥満の人では腸内細菌叢が違う?

 これまでの研究で、肥満の欧米人と痩せているアフリカの子供では全く異なる腸内細菌叢を持つことが明らかになっており、これは食事の内容や周りの衛生環境によるものだと考えられています。日本は島国のため、ヨーロッパやアフリカとは異なるユニークな食生活を送っています。そこに注目した滋賀大学の研究グループは、2016年、日本人の痩せている人と肥満の人を10人ずつ集めて、その腸内細菌叢を比較しました。

 その結果、痩せている人のほうが肥満の人よりも、多様性に富んだ腸内細菌叢を持つことが分かりました。また、肥満の人にはフソバクテリウムと呼ばれる細菌が多く含まれることも明らかになりました。これは欧米人の肥満の人には見られない変化であり、食生活や衛生環境・遺伝的傾向の違いなど様々な要因が原因であると考えられます(※2)。

 近年、このフソバクテリウムという細菌は、潰瘍性大腸炎や大腸がんと関連があるのではないかと研究されています。MYCODEトピックスでも過去に「大腸がんの発生や発達に関わる腸内細菌を発見?」
という記事を紹介しています。
 
 これまでの研究ではフソバクテリウムと肥満について述べられているものはなく、肥満の人におけるフソバクテリウムの増殖は欧米人には見られないものです。今後、フソバクテリウムと肥満の関連性についても研究が進むことでしょう。

 MYCODEでは、「潰瘍性大腸炎」や「大腸がん」のなりやすさの遺伝的傾向を調べることができます。

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
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