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遺伝子だけじゃない!?唾液で今の健康状態を知ることはできるのか?
スウェーデンの研究グループは、体の中で炎症が起きると唾液中で増える物質と病気との関連を調べ、その結果を報告しました。
「唾液」で調べられるのは遺伝子だけじゃない!?
自宅で手軽にできる遺伝子検査、あなたはもう調べましたか?
遺伝子検査MYCODEは容器に唾液を入れて送るだけで疾患リスクや体質の遺伝的な傾向を手軽に調べることができます。
心配な病気のリスクが高くなければ少し安心できるし、自分が思ってもみない意外な病気のリスクが高かったら、積極的に検査を受けたり前もって予備知識を得ることができるなど、健康なうちに自分の体に目を向けて予防への行動ができるのがメリットです。
遺伝子検査はその性質上「今」の健康状態を知るためのものではなく、生まれ持った体質を調べる検査です。でも最近では、唾液からがんや糖尿病などの今の病気の有無を調べる研究も行われているようです。
唾液中のタンパク質を調査
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究グループは、唾液中のタンパク質を分析することで、がんや糖尿病、筋肉や関節の病気を調べる方法についてを報告しました。
研究グループはスウェーデンに住む451人の男女に協力してもらい、唾液のサンプルを集めました。そして、唾液中の「IL-1β」「IL-8」「MMP-8」などと呼ばれる、体の中で炎症が起きると増えるタンパク質の量を調べたのです。
それと同時に、健康状態や病院かかっているかどうかなどをアンケートで回答してもらいました。
がんや糖尿病になった人との関連性が
その結果、がんになったことのある人や、腸の病気を持っている人の唾液中の「IL-8」の値は、そうでない人の2倍高くなっていました(※)。また、唾液中の「MMP-8」が、心臓の手術を受けたことのある人、糖尿病のある人、筋肉や関節の病気を持つ人で上昇するとわかりました。さらに、筋肉や関節の病気を持つ人では唾液中の「IL-1β」や「MMP-8/TIMP-1の比」の値も上昇することがわかったそうです。
これらの技術はまだ研究段階ですが、将来、血を抜いたり、痛い思いをせずに気軽に健康状態を調べられるようになるかもしれません。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。
参考文献
※ Rathnayake N, Salivary biomarkers for detection of systemic diseases., PLoS One.