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高コレステロールの食事がまねく認知機能の低下、脳の健康に効く果物とは?

公開日:2015年7月10日
更新日:2019年3月12日

 今回は夏に旬を迎える「スモモ」のお話。年齢を重ねると記憶力や脳内の情報処理速度が遅くなります。台湾の研究グループは、認知機能の低下に対してスモモが緩和する効果をもつのかを調べました。


あの果物が認知機能の低下を助けてくれるかも!?(写真:Shutterstock.com)

年齢を重ねると低下する認知機能

 一般的に歳を重ねると脳内の情報処理速度が遅くなるなど認知機能は低下します。酸化ストレスが増加し、老化や神経細胞の損傷が加速するために認知機能が低下すると考えられています。酸化ストレスは、認知症のおよそ7割を占めるといわれているアルツハイマー病の原因にもなっています。

高コレステロールの食事が認知機能を低下させる?

 台湾の研究グループは、抗酸化物質の一つであるポリフェノールを多く含むスモモの認知機能に対する効果を調べました。

 具体的には、マウスを4つのグループに分けて、それぞれのグループに①標準飼料、②標準飼料に5%のコレステロールを加えた高コレステロール飼料、③高コレステロール飼料に2%のスモモ粉末を混ぜた飼料、④高コレステロール飼料に5%のスモモ粉末を混ぜた飼料を5ヶ月間与えました。

 研究グループは、血中や脳にコレステロールが多くなると、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβというタンパク質が蓄積し、脳細胞が損傷するのではないかという仮説から、高コレステロールの食事をマウスに与えたのです。

スモモで高コレステロールによる認知機能の低下が緩和

 その結果、高コレステロール飼料を5ヶ月間食べ続けたマウスは、標準飼料や5%スモモ粉末を含む飼料を食べていたマウスより血中と脳のコレステロール含量が高くなっていました(※)。

 また、これらのマウスでは、認知機能の低下がおこり、脳皮質や海馬でアミロイドβなど脳の神経変性に関わる遺伝子が強く働いていることがわかりました。

 一方で、高コレステロール飼料に加えて5%スモモ粉末を含んだ飼料を食べていたマウスでは、標準飼料を食べていたマウスと比べて認知機能などで有意な差は認められなかったそうです。

 今回、マウスでスモモが脳の神経変性の症状を緩和するのではないかという結果が得られましたが、脳の健康のためには、高コレステロールの食事を控えたほうがよさそうです。

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献
Kuo PH, A high-cholesterol diet enriched with polyphenols from Oriental plums (Prunus salicina) improves cognitive function and lowers brain cholesterol levels and neurodegenerative-related protein expression in mice., Br J Nutr.

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