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夜勤は健康に良くない、その理由の一端が明らかに!?
夜間に働いている人は乳がんや前立腺がんのリスクが高まるということが報告されています。その原因として、夜間に働くことで「性ホルモン」のバランスが崩れてしまうことが関係しているのではないかと推測されています。スペインの研究グループは、性ホルモンの分泌量が、夜のシフトで働くことでどのように乱れるのかについて調査を行いました。

夜勤が多いとなぜ病気のリスクが高まるのでしょうか(写真:Shutterstock.com)
夜勤で乳がんや前立腺がんに?
夜間のシフトで働くと乳がんや前立腺がんのリスクが高まるということが報告されています。
これらのがんのリスクを高めてしまう原因として、夜間に働くことで「性ホルモン」のバランスが崩れてしまうことが関係しているのではないかと推測されています。
多くのホルモンは、体内時計によりその分泌量が一日の中で厳密に管理されていて日々のリズムを作り出しているのですが、それは健康的な体にとって不可欠となっています。
しかし、夜間に働くことでどのように性ホルモンのバランスが乱れるのかについて、はっきりとしたことは分かっていませんでした。
夜のシフトで働く人の性ホルモンを測定
スペインの研究グループは、体内時計と深く関わりのある「メラトニン」と性ホルモンの分泌量が、夜のシフトで働くことと関連があるかどうかについて調査を行いました。
様々な仕事で夜間に勤務する75名と、対照として42名の日中に働く人に協力してもらいました。働いた日の一日にわたって尿検査を行い、女性ホルモンである「エストロゲン」や「黄体ホルモン」、そして男性ホルモンである「アンドロゲン」などの性ホルモンの代謝物や、メラトニンの代謝物の量が測定されました。それぞれの代謝物の平均レベルとピークの時刻が、夜間勤務と昼間勤務の人の間で比較されました。
男女ともに体内の性ホルモンが増加、夜勤の多い人は、特に気をつけて
結果として、夜間の労働者は黄体ホルモンとアンドロゲンの代謝物の平均量が高いレベルであることがわかりました(※)。そして、夜間勤務の人はアンドロゲンのピーク時刻が遅れていることもわかったのです。
今回の研究で、夜間に働いている人は、性ホルモンのリズムが崩れてしまっていることが見えてきました。夜のシフトで働く人はなぜがんのリスクが高まるのかについて、その理由が少しずつ分かってきたようです。
MYCODEトピックスでも以前に、「夜勤が多い人は「あの病気」のリスクが上がる!?たばこや脂っこい食事は控え目に!」という記事や、「女子の夜遊びはホドホドに!夜は電気消して早く寝ましょう」という記事をご紹介しましたが、体内時計の乱れは思っているよりずっと健康へのリスクが大きいのかもしれません。
夜勤の人だけでなく、いつも夜遅くまで起きている人は、喫煙や偏った食生活、運動不足など、特に気をつけていただきたいです。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
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