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夜勤が多い人は「あの病気」のリスクが上がる!?たばこや脂っこい食事は控え目に!
私たちの安心した生活を守ってくれる、シフト制勤務。しかし、交代制の夜勤を長年続けると、健康に良くない影響を及ぼすということが明らかになったのです。夜勤が多い人は、どんな病気に気をつければよいのでしょうか?

安心社会に不可欠な「シフト制勤務」、でも体に負担が?
日本では、原則として勤務時間の上限は1日8時間、週に40時間と、労働基準法で決まっています。その一方で、警察、消防、病院、コンビニなどでは、24時間365日、人員が配備されている必要があります。そのため、労働日や労働時間をずらして「シフト制勤務」が組まれています。私たちの安心した生活は、こういった方々のシフト制勤務の下に成り立っていると言っても過言では無いでしょう。
しかし、シフト制勤務により、交代制の夜勤を長年続けると、いろいろな病気になるリスクが上がるということが、米国の国立がん研究所とハーバード大学の共同研究グループの調査により判明しました。
7万5000人の調査結果
研究グループは、米国の看護師健康調査に登録している人のうち、22年間に渡り調査に答えている約7万5000人分のデータを基に、交代制夜勤が健康や寿命へ与える影響を詳細に分析しました。
「看護師健康調査」は2年に1度行われるもので、1976年に始まり、30歳から55歳の看護師の女性約12万人が登録しています。夜勤に関する調査は1988年から開始されました。今回の研究では、日中と夕方の勤務に加えて、月に3回以上の夜勤を行っている人を対象としました。
心臓病と肺がんが増加
1988年から2010年の22年間に、対象者のうち約1万4000人が亡くなりました。このうち約3000人は心臓や血管の病気で亡くなり、約5400人はがんで亡くなりました。
交代制夜勤のある人は、全く夜勤の無い人よりもあらゆる理由での死亡リスクが11%高かったのですが、中でも夜勤を6~14年続けている人は、心臓や血管の病気によって死亡するリスクが19%、15年以上続けている人は23%高いという結果がみられました(※)。
がんについては、肺がんによって死亡するリスクが25%上がっていました。その一方で、それ以外のがんと交代制夜勤との関連は確認されませんでした。
研究グループは、1日24時間で成り立っている睡眠や心身のリズム(体内時計)を崩すのが原因となっていると説明しています。
夜勤が多い人は、たばこや塩分脂肪分の高い食事を控えるなど、心臓病の予防につながるような生活を普段から心がけておくと良いかも知れません。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。