- 腸内細菌
- 食事
- 寿命

年齢や食事によって変わる腸内細菌、では100歳以上の人の腸内は?
中国の研究グループは、ご長寿が多く住む村の100歳以上の人の腸内細菌と食事の内容について調べ、長生きしている人の腸内細菌を調べました。

腸内に住んでいる細菌が健康を守る!?
「腸内細菌」や「腸内フローラ」という言葉を知っていますか?腸の中にいる腸内細菌は1種類ではなく、多くの種類が存在します。「腸内フローラ」や、「腸内細菌叢(そう)」とは、腸内細菌の集まりを指す言葉ですが、多様な菌がバランスよく存在していることが重要だと考えられています。
最近では腸内細菌を整えることで健康に大きく貢献することが知られており、話題になっています。例えば、肥満の人の腸にはいわゆる「デブ菌」が存在する、なんて恐ろしい報告もあるのです。
100歳以上の腸内細菌はどうなっているのか
腸内フローラに影響を与えるのは、年齢、これまでに飲んだ抗生物質、そして住んでいる地域などであると言われています。住んでいる地域の違いはすなわち、生活スタイルや食事ではないかと考えられます。
中国、広西大学の研究グループは、中国の巴馬ヤオ族自治県という、ご長寿が多く住む村の100歳以上の人の腸内細菌と食事の内容について調べ、長生きしている人の腸内細菌の謎に迫ろうと考えたのです。彼らは腸内細菌のDNAを採取し、細菌がもつ必須遺伝子の違いから細菌の種類を分類しました。
ご長寿の健康を支えるのは食物繊維!?
その結果、100歳以上の人、同じ地域に住む80~99歳までの人、全く異なる地域に住む82~92歳の人の各グループで明らかに増えていたり減っていたりする腸内細菌の種類が明らかになり、年齢や地域によって確かに違った傾向があることが改めて示されました。
年齢に関連した分類の傾向を調べてみると、100歳以上の超高齢の人ではルミノコッカス科やクロストリジウム科の細菌が特に増加しており、ラクノスピラ科が減っていることがわかりました(※)。
この一方で、食事内容と腸内細菌との関係を調べてみると、繊維質の多い食事をとっている人ほどルミノコッカス科は増えてバクテロイデス目とラクノスピラ科の細菌は減っていることがわかり、超高齢の人と繊維質の多い食事をとっている人の腸内は似た変化をしているということがわかりました。
繊維質の多い食事は、年齢と同様に腸内フローラに大きく影響しているようです。食事が体にとって良いバランスの腸内フローラを作り出し、もしかするとご長寿の健康を支えているのかもしれません。
今日の食事から腸内環境を意識してみてはいかがでしょうか?
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。